「キットカット」が受験の必須品になった理由 九州の「きっと勝っとお!」が由来だった

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CMでおなじみの「Have a break, have a KitKat.」は世界的なキャッチコピーで、「ブレーク」には「休む」という意味がある(「割る」というダブルミーニングもある)。

日本の消費者を対象に「あなたにとってのブレークとは、どんな瞬間ですか?」という大規模なヒヤリング調査を行うと、リアルな声が次々と上がった。「仕事の後、お風呂に入ってリラックスしている瞬間」(女性)、「勉強の休み時間に、机にだらーっとなって寝てるとき」(学生)。「つまり日本人にとってのブレークは、単なる休憩ではない。ストレスから解放されている瞬間だということがわかったのです」(竹内さん)。

日本の「ブレイク」はストレスからの解放

日本はストレスの多い国とも言える。まじめに取り組む人ほどストレスはかかる。なかでも「受験」は学生時代のいちばんのストレスではないか、と仮説が上がり、九州から上がってきた声とシンクロした。

そしてついに、当時マーケティング本部長だった高岡浩三氏(現・ネスレ日本代表取締役社長兼CEO)が「九州の消費者から上がったユニークな現象。これこそがリアルで新しい消費のされ方だ」と認識、2003年から受験生応援キャンペーンが始まった。

ネスレ日本は「キットカット」販売にとどまることなく、受験生の応援を続けている。「「キットカット」で応援されていることは、少しでも気持ちがやわらぐ瞬間になるのではないか。ストレスをリリースするため学生さんを応援するツールになれば、本当の意味でのブレークではないかと考えたのです」と竹内さんは話す。

「いい予感」、とかけて「伊予柑」(写真:ネスレ日本提供)

2003年からは、全国の受験生が泊まるホテルに向けて「キットカット」を無償配布することを始めた。現在では500以上のホテルのフロントで、受験生に「キットカット」が手渡される。

また、これまでにも受験生の不安を取り除くため、「鉄道・タクシー」会社、「郵便局」や「神社」などと組んで、受験生応援活動を展開してきた。

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