教養ある大人が密かに実践する「知的な習慣」 ただ情報を消費する生活から抜け出すために

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このように「気になって仕方がない言葉やフレーズ」「違和感を覚えさせるなにかとの出会い」を記録し、積み上げることで、やがてそうした情報との一期一会はネットワークのようにつながり始めます。1回の読書や1回の体験をそのままで終わらせない、こうした「積み上げ」こそが、日常を「消費」で終わらせないためのカギとなるわけです。

ハイコンテクストな時代を楽しむ

私たちの周囲に情報が膨大にあるということは、まだ発見されていないつながりや、指摘されたことがない解釈が無数にあるということでもあります。

たとえば最近だと人気漫画家が有名なテレビのワンシーンや、映画ポスター、あるいは名画の構図をさりげなくパロディー化して作品に組み込み、それに気づいたファンが話題にするといったこともありました。説明されなくても作品を楽しむことはできますが、それを知れば私たちはさらに深く作品の中に入っていけます。

こうした作品とその受容をコミュニケーションとして捉えるなら、これは文化人類学者のエドワード・T・ホールが「ハイコンテクスト文化」と呼んだ状態に近いでしょう。

「ハイコンテクスト」であるとは、事実の認識や前提としている価値観といったものが、情報を発信する人と、それを受け取る人のあいだで高いレベルで共有されているために、「みなまで言わずともなにがしかの情報が伝わる」、そんな状態のことを指しています。わかりやすい言葉で表現するなら「ネタがネタであるとわかっている状態」といってもいいでしょう。

しかし世界はわかりやすい「ネタ」だけで出来上がっているわけではありません。ある場所で隠されているものは、別の場所で明かされていて、それを見つけるためには長年の経験から得た積み上げをカギにしなければいけないことがよくあるのです。

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