そもそも、男性は面白いことを言って、注目を集めたいという欲求がある、という説もある。「ウケを狙うのはそれ自体、女性の関心を引きつける示威行動」というわけだ。面白い男性はモテるが、面白い女性はそれほどモテない。
ユーモアはインテリジェンスの一種であり、それを見せつけることによって、女性にアピールすることができるが、その逆はあまりないということになるらしい。男性の行動の多くがメスを引きつけ、生殖活動を行うというオスとしての本能に基づくものという一面は否定できないだろう。
かように男女のコミュニケーションのスタイルは大きく異なる。もちろん、すべての人に当てはまるわけではないが、その傾向の違いは非常に顕著だ。こうした男女のコミュニケーションスタイルの違いが、人との結びつき方に影響を与えているということを、拙著『世界一孤独な日本のオジサン』の中で触れ、その特徴的な差異について細かく分析した。
「感情」との向き合い方が男女で違う
「男性は」「女性は」というように、一般化することには異論もあるが、こうした違いがそれぞれの強味にもなり、弱みにもなることは事実だ。例えば、「感情」との向き合い方。女性同士の会話を聞いてみると、「悲しい」「うれしいね」など、自分が感じること、相手の発言に対する感情など、「共感ワード」のキャッチボールが頻繁に繰り返される。
一方の男性はこのように、「感情」を口にすることが少ないと言われる。周囲の人に聞くと、「感情を見せるべきではないという意識が働く」「男は泣いてはいけない、怖がってはいけないといった暗黙の了解がある」「感情をさらけ出すことは、裸になるような恥ずかしさがある」「弱いところを見せたくない」という。
「男なんだから泣くな」「男は度胸」という言葉にも表れるように、感情を表に出すこと自体が「女々しい」、男ならちょっとのことで感情的になっていけない、という社会通念もある。だから、「怒りや興奮、誇り」といった「男らしい感情」はまだ許されても、「うれしい」「悲しい」といった「女らしい感情」はあまり示してはならない、という自己抑制が働く。
また、男性のほうが、「人の表情やしぐさなどから、感情を読み取ることが難しい」というデータもある。感情に『鈍感でいられる』ことは戦いなどでは強みとなる。相手の痛みや恐怖を感じ取っていては、負けてしまうからだ。
企業や組織のリーダーシップには感情をコントロールし、多少のことでは動じない冷静さが要求され、感情を制御する能力は人を支配しようとするときなどには役に立つ。一方で、人と心を通わせたいと思うのであれば、胸襟を開き、感情を共有しあうコミュニケーションのほうがはるかに近道だ。
女性は相手の表情やしぐさの変化に気づき、感情を読み取ることや言葉の行間を読むことに長けていると言われる。しかし、例えば、プレゼンの場で、聴衆の表情や会場の空気を読みすぎて、萎縮してしまうこともある。実際に、弊社で行った20~50代の男女を対象にしたコミュニケーションに関する調査では、20代女性のコミュニケーションに対する自信のなさが顕著に表れていた。
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