お年玉の「無駄遣いはダメ」と言うのはNGだ

正月は親子でお金について考える絶好の機会

さて、お年玉事情について学んだが、次はいざ手渡すときのことを考えてみよう。おそらく、ほとんどの方が「無駄遣いしちゃダメだよ」と言って手渡すのではないだろうか。

筆者にも子どもが3人いるため、そのように言ってしまう気持ちは痛いほどわかるのだが、金融教育という観点からはお勧めできない。これまでにそのようにしてきた親が多かったので、前述の調査で「貯金をする」と回答した子どもが8割もいたのだろう。

筆者は金融教育のベースには経済学や会計の概念があるべきと考えている。たとえば、経済学の前提に基づけば、人間は限られた条件下において効用を最大化するように動くとされている。

子どもがお金を手にしたとき、主に「使う」か「貯める」かの2つの選択肢が生じると思うが、今欲しいものがあり、それを買うことが最も効用が最大化される、つまり満足度が最も高くなるのであれば、お金をすぐに使うことは悪いことではないし、むしろ最も正しい選択をしたことになる。

使うべきか貯めるべきか考えさせる

頭ごなしに「貯金しなさい」と言うのではなく、使うべきなのか、貯めておくべきなのかを考えさせるというのが家庭でできる金融教育の第一歩なのではないだろうか。

ちなみに、わが家では子どもたち(就学前)に毎月2回、少額ながら定期的にお小遣いをあげ、いつも買い物に行くスーパーや百貨店の広告を一緒に読むようにしている。まだ小さいので複雑な計算はできないが、今いくら貯金があるのか、自分が欲しいものはそれぞれいくらなのか、この程度は理解ができる。

現在の貯金とこれから定期的に入ってくる金額を考えれば、どれぐらい貯めればいいのかなども感覚的に理解できるので、それなりに選択肢を作りながら、実際の行動の取捨選択をできているようだ。

アメリカで使われている子ども向けの金融教育の教科書では「opportunity cost(機会費用)」という言葉を用いているが、何かを選択し手に入れるときは同時に何かを諦めているという感覚を持たせることも金融教育である。

子ども向けの金融教育というと、残念なことに、「子どもにお金のことを教えないでほしい」「金融教育は危険なのでわが子には必要がない」などと言われることがある。その背景には、金融教育というと資産運用、つまり投資を連想するからなのだろう。確かに投資で損をしたという人が周りにいればいるほど、そのような考えになるのも理解できる。

しかし、投資は金融教育という幅広い分野においては全体のごく一部でしかない。金融教育ではお金を使うこと、貯めること、増やすことなど、お金に対するさまざまな概念や方法論を教えていく。投資はあくまで増やすという点でしかない。

また、それ以外にも、そもそもどのようにお金が誕生したのかなどの歴史や、お金が労働の対価であるという概念、一般的な世帯の収入など身の回りの数字の相場観を養うことも金融教育の一環だと考えている。

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