「カフェイン取りすぎ」はやはりヤバいのか 「眠れるから大丈夫」という人は要注意
カフェインがなければ居眠り運転による交通事故はもっと多いのではないだろうか。私は長距離を運転する際には必ずコーヒーをそばに置き、コンサートやオペラ、芝居の鑑賞の前にも1杯飲む。ただ、カフェインの刺激作用に耐性ができて居眠り防止の効果がなくならないよう、飲みすぎには気をつけている。
アメリカ食品医薬品局(FDA)が推奨するカフェイン摂取量は、豆の種類やローストの方法によるが、1日最大400mg。カフェイン入りコーヒー2〜3杯分だ。しかし、私の弟のように日に6〜7杯ものコーヒーを飲むとどうなるのだろう。睡眠に影響がないとしても、それほど大量のカフェインを摂取すると、不整脈や高血圧、神経過敏、怒りやすさ、不安などを引き起こす恐れがあることがわかっており、これらはすべて心臓血管機能に悪影響を及ぼしかねない。
コルチゾールが過剰に分泌されると
カフェインは体内の主要なストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を増加させる。コルチゾールは認識された脅威に対する闘争・逃走反応を高めることで知られ、視床下部と下垂体の刺激によって副腎で生成され、体の他の機能がストレスや危機に対して素早く、効果的に反応できるようにする。
コルチゾールが分泌されると、血圧が上昇し、心拍が早くなり、活力が増す。古代の人はそれによって腹をすかせたライオンから逃げることができただろう。現代でも、多くの人は生化学的なストレス状態がずっと続くような生活環境に置かれている。
過剰なコルチゾールが頻繁に分泌されると、さまざまな健康上の問題を引き起こす可能性がある。不安症、うつ、記憶力と集中力の問題、睡眠障害、体重増加、そして心疾患だ。
学際的な研究チームが行った比較試験によると、カフェイン摂取によるコルチゾールの分泌反応はカフェインを毎日摂取すると減少するが、なくなることはない。
ストレスが専門のオクラホマ大学ヘルスサイエンスセンターのウィリアム・ロバロ率いる研究チームは2005年に心身医学誌『Psychosomatic Medicine』に発表した論文で、「コルチゾール分泌の習慣的な上昇は長期的な健康に影響を及ぼす可能性がある」と結論づけている。