年の瀬になると、気になるのが「紅白歌合戦」です。私も日本で年末年始を過ごすときは必ず紅白を観ていて、紅白を通じて演歌が好きになりました。もともと日本の演歌とギリシャの伝統的な歌は、歌い方が似ているなと思っていたので興味を持っていましたが、紅白に出ている歌手が着ている衣装はとてもすてきですし、ステージの飾り付けも本当に豪華絢爛で、まるでオリンピックの開会式を見ているよう。
紅白を観てからは、演歌はとてもおしゃれというイメージを持つようになり、今では、氷川きよしさんの「ときめきのルンバ」が筆者のカラオケでの持ち歌になっています。
紅白のあとは「ゆく年くる年」。とても落ち着いたナレーションで全国各地の様子を伝えていて、そのような静かな雰囲気の中で新年を迎えるのは平和な感じがして、とても好きです。紅白のにぎやかな雰囲気の後にこの番組を見ると、新しい年を迎える準備をすることができます。
剣道でも、稽古の始めと終わりに「静座」して気持ちを整えますが、それと同じで1年間の最後の時間をこのような静かな雰囲気で過ごすことで、その年を振り返ることができますよね。1年の締めくくりとして、とても重要な時間だと思いますし、外国人の私からすると、とても日本らしい番組のように感じます。
みんなで初日の出を見に行くと思ったのに…
日本のお正月も、外国人にとっては興味深いもの。日本のアニメやドラマが好きな人は、日本人は年が明けると必ず初日の出を見るというイメージを持っている人が少なくありません。私も『フルーツバスケット』や『のんのんびより』などのアニメで初日の出のシーンを観ていたので、寒い中、山の上などで太陽が昇ってくるのを待って、初日の出を見てから「明けましておめでとうございます」と言うのが、日本人がやっていることだと思っていました。
なので、日本での初めての年越しでは、ギリシャにはない日本独特の習慣を体験できると思って楽しみにしていましたが、実際は少し違っていました。初めての日本での年越しは夫の実家にいましたが、日付が変わると「明けましておめでとうございます。じゃ、そろそろ……」と言って寝てしまったので、「えー!」と思ってしまいました。やっぱり、みんながみんな初日の出を見るわけではないのですね。ちなみに、ギリシャには初日の出を見る習慣はありませんが、特に若い人は大みそかに友人たちとクラブに行って、朝まで楽しく過ごすのが一般的ですので、結果的に初日の出を見ることになります(笑)。
この初日の出のことがいい例ですが、アニメやドラマが好きな外国人でも知らない日本のことはたくさんあります。たとえば、年末年始の食べ物。お雑煮やおせち料理、年越しそばなどは、意外と知らない人が多いかもしれません。私も日本へ行くまでは、お餅を知りませんでした。最初に見たのは鏡餅で、お餅の上にミカンが乗っていたので、お餅の中にミカンのジャムが入っているのかと思っていました。
仕事で知り合った日本人女性の方からは、毎年何日もかけておせち料理を準備している話を聞いたり、『美味しんぼ』を読んで黒豆をうまく煮るのがどれだけ難しいかを知ったりして、本当にすばらしい伝統だと感じました。
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