ダイキンがライバル企業と提携拡大の“荒業”、新興国市場の掘り起こし狙う
ダイキン工業は12日、中国のエアコン最大手・格力電器(広東省)との業務提携分野を拡大すると発表した。ダイキンが省エネ性能に優れたインバータ搭載の高価格帯エアコンで世界首位であるのに対し、格力電器はインバータを搭載しない低価格帯エアコンの世界トップ。ライバル企業と手を組むことで、新興国の掘り起こしを一層促進する。
ダイキンは格力電器と今年3月に小型インバータエアコンの生産を委託することで合意(2009年は年間50万台委託の計画)していたが、今回は基幹部品の共同量産化に着手する。来年初めに合弁会社を設立し、コンプレッサーやインバータ用プリント基板の新工場を建設する計画。合弁会社の出資比率はダイキンが49%、格力電器が51%の予定で、2010年の本格稼働を目指す。
さらに今後は、インバータを搭載した低価格帯ルームエアコンの共同開発に乗り出す。格力電器の低コスト調達や生産力を活用することで、世界市場に普及可能な機種の開発・生産を手掛けたい考え。すでに技術者レベルの意見交換を始めており、早ければ10年にも共同開発による新商品投入を狙う。
ライバル会社と基幹技術の一つであるインバータの共同開発に乗り出すことは、技術流出につながるリスクも伴う。が、ダイキンの岡田慎也執行役員は「自前で普及ゾーン(=低価格帯)に投資していくことにメリットがあるのかを考えた。先方の生産能力をいかして成長していきたい」と語る。
この背景には、昨今の世界的な景気後退がある。「経済の状態を見ると、高級市場に偏った商品展開では今後の成長が見込めない」(岡田執行役員)。ダイキンは今09年3月期、主力の欧州市場で販売が後退している一方で、新興国市場での拡販に力を入れている。11年3月期を最終年度とする中期計画のおいて、新興国市場売上高1000億円を標榜しており(実績数値なし)、格力電器との共同開発によるインバータ搭載エアコンを武器に、中期戦略を進める狙いだ。
ただ、今回の提携は中期的にはプラスであるとは言え、効果発現には時間を要することから、短期的な業績押し上げ要因とはならないだろう。「東洋経済オンライン」は引き続き今期は減益になるとの予想を据え置く。
(梅咲 恵司)
《東洋経済・最新業績予想》
(百万円) 売 上 営業利益 経常利益 当期利益
連本2008.03 1,290,893 128,496 122,106 75,223
連本2009.03予 1,300,000 105,000 100,000 61,000
連本2010.03予 1,290,000 105,500 100,500 61,000
連中2008.09 666,909 65,153 62,643 38,656
連中2009.09予 633,000 40,000 37,000 22,000
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1株益¥ 1株配¥
連本2008.03 263.7 38
連本2009.03予 209.0 38
連本2010.03予 209.0 38
連中2008.09 132.4 19
連中2009.09予 75.4 19
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