アフリカで「ライオン」が激減している真因 生息地もかつての8%に狭まっている

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一部の国ではすでに成果が上がっている。自然を売りにした観光業からの収入が国庫収入のかなりの部分を占めることに鑑み、南アフリカやケニアは国立公園や保護区への投資に努めており、赤字に陥っているケースは比較的少ないという。

他方、モザンビークのように数多くのライオンが生息し、すばらしい景観美を誇るものの、観光業が未発達なために観光収入につなげられていない国もある。

「パズルの大切なピースだ」とティアーは言う。「もし近い将来に向けて投資を行わなければ、アフリカ諸国はこれらの(ライオンのような)種から利益を得るチャンスを失ってしまうかもしれない」。

自然保護区に投資した国々ではこれからその効果が拡大していくとリンゼーは言う。観光業は世界規模で成長しており、開発により自然が多く失われていくなかで、手つかずの自然と野生動物が残る数少ない場所は、今後さらに価値が上がっていくはずだ。

「ニューヨークのセントラルパークも、マンハッタン全域が森だったら何の価値もない。だが現状は(都会のオアシスとして)金では買えない貴重な存在となっている」とリンゼーは言う。

「他人事」扱いしてはならない

論文では、アフリカ諸国だけに自然保護の責を負わせるべきではないとの指摘もされている。世界平均をはるかに上回る割合の国土を保護区に指定している国も多く、開発よりも自然保護を優先したことによる負担は小さくない。

「国際社会は不均衡の存在を認識する必要があるし、誰もがそれを正すために一役買わなければならない」とティアーは言う。「アフリカを象徴するような動物を保護する責任を他人事のように考えるべきではない」。

アフリカの国立公園や自然保護区を立て直すために必要な費用はぱっと見は膨大な額に思えるかもしれないが、世界規模で考えれば微々たるものだとファーンヘッドは指摘する。

「文字通り1人の個人であっても――確かに非常に裕福でなければ無理だが――アフリカ大陸が抱える困難を解決できるかもしれない。そうすれば希望が生まれる」と彼は言う。

個人や起業家らの寄付に加え、先進国や世界銀行のような国際機関の取り組み強化も資金不足解消に役立つだろうとリンゼーは言う。

アフリカ諸国が現在、受け取っている開発援助は年に約510億ドルに上る。これは国立公園や保護区で使うために受け取っている額の約200倍に相当する。開発援助のほんの2%でも自然保護に振り分けることができれば、目下の危機はほぼ乗りこえることができるはずだという。

「私たちはまさに分かれ道にいる」とリンゼーは言う。アフリカの国立公園や自然保護区に戦う価値があるかどうか、世界が判断する時が来た。

(執筆:Rachel Nuwer記者、翻訳:村井裕美)
(c) 2018 New York Times News Service

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