クリスマスに寄せて―キリストの生涯を聴く クラシックとロックの傑作から

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マグダラのマリア役のイヴォンヌ・エリマンが歌う「私はイエスがわからない」は、天下一品のラヴソングです。この後、イヴォンヌはエリック・クラプトンのバックアップヴォーカルを経てトップシンガーとなります。ユダ役のマレー・ヘッドの「裏切/血の報酬」も単なる悪役ではなくイエスへの敬愛の裏返しという視点をにじませています。

しかし、この音盤は、英国ではまったく売れませんでした。文字どおりコンセプトアルバムのままでした。この音盤を評価したのは、米国のオーディエンスでした。1970年のクリスマスの季節に売れ始めます。翌71年には、ビルボード誌の年間アルバムチャートの堂々1位となります。そして、1971年10月、まずブロードウェーで上演されます。ロンドン公演は翌72年8月です。さらに、73年にはノーマン・ジュイソン監督が映画化します。今や、ロックオペラの古典です。

音楽の進化と真価を感じて

クリスマスシーズンです。この2作品を聴き比べれば、音楽の進化と真価を感じられることでしょう。

両作品とも多数の音盤がありますが、『マタイ受難曲』は、鈴木雅明指揮、バッハ・コレギウム・ジャパン盤が絶品です。『ジーザス・クライスト・スーパー・スター』は絶対にオリジナル・ロンドン・コンセプト・レコーディング盤です。お楽しみください。

小栗 勘太郎 音楽愛好家

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おぐり かんたろう / Kantaro Oguri

1958年生まれ。東京外国語大学卒。米国滞在7年余。音楽愛好家。ポップ、ロック、ソウル、ジャズ、映画音楽からクラシックまで幅広く聴く。現在、 西日本新聞に「音楽プラスα」、毎日フォーラムに「歴史の中の音楽」を連載中。著書に『音楽ダイアリー SIDE A』『音楽ダイアリー SIDE B』(いずれも西日本新聞社刊)。

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