「ボヘミアン・ラプソディ」クイーン人気の軌跡 再評価される2大グループの知られざる功績

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
『ジュエルズ』と『S.O.S. 〜ベスト・オブ・アバ』(写真:筆者撮影)

そして2004年1月、クイーンの「ボーン・トゥ・ラブ・ユー」が木村拓哉、竹内結子が出演したフジテレビ系ドラマ「プライド」の主題歌として使用された。

この曲は元々フレディ・マーキュリーが1985年にリリースしたソロ・アルバムに収録されていたのだが、主題歌にはフレディの死後、残ったクイーンのメンバーが演奏のみを差し替えたクイーン・ヴァージョンが使われた。

こちらは最高視聴率28.8%、平均視聴率25.2%を記録。劇中でもよいところでクイーンの曲が使われた効果もあり、その後リリースされた日本独自編集のオールタイム・ベスト『ジュエルズ』は3週連続1位、170万枚の売り上げを記録。こちらも第2世代のブームへと引き継がれたのである。

アバター・メンバーが歌って踊って演奏

アバは昨年、35年振りとなる新曲のレコーディングを行ったことを発表した。そして2019年中にはAIとVRを駆使した「ABBATAR」ツアーを計画中である。

アバのビジネス・スタッフと親交がある音楽プロデューサーの大越王夫氏によると、「2019年の春にまずはテレビ・スペシャルで公開されるようです。メンバーは直接のパフォーマンスはせず、文字通りアバター・メンバーが歌って踊って演奏します。ダンサーとバンドはリアルなパフォーマンスで、当時のバンドメンバーにも声をかけていたようですが、まだ全貌は明らかになっていません」と語る。

アバのメンバー、ビョルンのインタビューでは、活動再開に向けて今のところ新曲として4曲ができていて、最終的にはアルバムになるかもしれないと語っている。このアバターライブは、最新テクノロジーを駆使した体感型ライブなので、成功すれば今後のライブ・エンターテインメント・ビジネスの新しい形になる可能性も秘めている。

アバターライブ予定図(イラスト:©GRAPHIC NEWS)

一方、クイーンはフレディの死後、追悼ライブでジョージ・マイケルをゲスト・ヴォーカリストとして迎えたが、2004年に正式に元フリー、バッド・カンパニーのヴォーカリスト、ポール・ロジャースを迎え「クイーン+ポール・ロジャース」として活動開始。ツアーで日本にも来ている。

その後2009年まで5年間一緒に活動し、ライブ作品とスタジオ・アルバムを残しているが、フレディのヴォーカルスタイルとは異なることもあってか、大ヒットにまでは至らなかった。

2011年にはレディ・ガガを新ヴォーカリストとして迎えるという噂もあったが実現せずに終わり、その後オーディション番組「アメリカン・アイドル」で共演したアダム・ランバートがヴォーカリストとして参加。「クイーン+アダム・ランバート」として世界ツアーを行い、2014年のサマーソニック、2016年に来日しており、2016年9月には31年振りとなる日本武道館公演を行った。そして先日、映画の大ヒットを受け、2019年夏にクイーン+アダム・ランバートは「ラプソディ・ツアー」と名付けた北米ツアーを行うことが発表された。

「クイーンもアバも時代の変化とともに『パッケージ・ビジネス』から『体感型エンターテインメント・ビジネス』へと移行しています。今後、アバターライブが成功すれば、フレディが再びステージ上でパフォーマンスをすることが夢ではなくなるかもしれないですね」(前述:プロデューサー大越氏)

映画やミュージカルで新たなファンを取り込んだクイーンとアバ。テクノロジーの進化によって、彼らはもはや解散もしないし、分裂騒動もない。よい曲を残しているアーティストは、永遠に生き続けるのである。

草薙 厚子 ジャーナリスト・ノンフィクション作家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

くさなぎ あつこ / Atsuko Kusanagi

元法務省東京少年鑑別所法務教官。日本発達障害支援システム学会員。地方局アナウンサーを経て、通信社ブルームバーグL.P.に入社。テレビ部門でアンカー、ファイナンシャル・ニュース・デスクを務める。その後、フリーランスとして独立。現在は、社会問題、事件、ライフスタイル、介護問題、医療等の幅広いジャンルの記事を執筆。そのほか、講演活動やテレビ番組のコメンテーターとしても幅広く活躍中。著書に『少年A 矯正2500日全記録』『子どもが壊れる家』(ともに文藝春秋)、『本当は怖い不妊治療』(SB新書)などがある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事