「ボヘミアン・ラプソディ」クイーン人気の軌跡 再評価される2大グループの知られざる功績

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日本では2005年5月~8月、2006年11月~12月にかけては東京の新宿コマ劇場、2007年1月には大阪の梅田芸術劇場でも上演された。またここにきて映画の大ヒットを受け評判も高まり、2019年にはイギリス、アイルランドでの再演が決定、スペインでは2021年の公演予定まですでに発表されている。

舞台人気に火がつき映画化へ

映画編

2008年にはミュージカル人気がハリウッドへ飛び火して、メリル・ストリープ主演による映画『マンマ・ミーア!』が公開。日本単体では26億円、世界規模では6億988万ドル(約670億円=1ドル110円計算)の興行収入となり、当時のイギリスではあのタイタニックを超える記録となった。

2018年は映画の当たり年に(写真:筆者撮影)

そして10年が経過した今年の夏に公開された第2弾、『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』は、アバの再結成ネタも追い風となり、全世界で3億935万ドル(約432億=1ドル110円計算)を稼ぎ出している。2作目はコケる場合が多いのだが、世界規模でみると2作合わせて1000億円を超える興行収入となり、歴代のミュージカル映画ランキングの7位と10位にランクしている。

日本では週間興行収入ランキングは最高位7位。イギリスでのプレミア試写会ではLittle Glee Monsterがジャパン・アンバサダーを務め、男性メンバー2人の前でダンシング・クイーンをアカペラで披露した。

一方、『ボヘミアン・ラプソディ』は勢いが止まらない。日本では11月9日の公開後、3週連続の1位を記録。日本での累計動員は390万人を突破、興収は50億超えを達成。このヒットを受けてニュースや情報番組などにも取り上げられ、グレーゾーンに広がると同時にリピーターも続出しており、最終興収は70億円に届く可能性も出てきたという。

リアルタイムでクイーンを聴いてきた層はもちろん、20代の若者が予想以上に多く見に来ているのが、これだけのヒットになった理由と分析されている。さらに、親が子どもを連れて一緒に見るというケースもみられ、小学生の間でも学校で「ウィ・ウィル・ロック・ユー」の冒頭の「ドン・ドン・パ」のリズムで床を踏みつけて真似するブームも起きているのだ。

世界規模で見ると、興行収入は6億3664万ドル(約700億円)を記録(※Box Office Mojoによる12月16日付データ)。さすがに続編はないだろうが、世界中でもリピーターが多いため、今後どこまで数字を伸ばしていくかが注目される。

日本のテレビドラマ対決

実はクイーンもアバも日本のドラマ主題歌に選ばれたことがある。

2001年1月、野島伸司脚本、滝沢秀明と深田恭子が主演したTBS系ドラマ「ストロベリー・オン・ザ・ショートケーキ」。主題歌としてオープニングにアバの「チキチータ」、エンディングに「S.O.S.」が使用されたのである。ドラマの最高視聴率は18.4% 、平均視聴率17.3%を叩き出した。

日本特別編集として、シングルCDとベスト盤がリリースされたのだが、シングルCDはこれまでのアバの自己ベストを更新する15位を記録、売り上げは15万枚を超えた。その後、リリースされたアルバム『S.O.S. 〜ベスト・オブ・アバ』は最高位3位、60万枚を超える大ヒットを記録したのである。ブレイクから20年以上が経過して、第2世代が曲のよさに惹かれてヒットにつながった例と言える。

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