獺祭チョコレートはなぜこれほど人気なのか こだわりは「磨き二割三分」だけではない

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「当店で年間扱うチョコレート原料の量は10トンを超えます。これだけの量を使っていると、チョコレートメーカーから仕入れる原料の欠点・限界が見えてくるんです。そうした原料は大量に流通させることを前提に、ある程度一般化された色や味、香りに仕上げる必要がある。そのため、さまざまなフレーバーのチョコレートがブレンドされています。

ですからチョコレートの味を追求しようとするとき、不便なことがあります。たとえば異なる特徴をもつ2つのチョコレートを混ぜると、期待どおりの味とはならず、ぼやけてしまう。自分が欲しい香り、味を出すには、やはり最初から自分で作るしか方法がないのです」(三枝氏)

カカオ産地を巡り、優秀なカカオを発掘

Bean to Barはカカオ豆を仕入れ、豆を選別・焙煎するところから始まるが、三枝氏はさらに、自ら世界のカカオ産地を巡り、優秀なカカオを発掘するところから行っている。品種や産地の気候、栽培や収穫の仕方により、カカオの味はそれぞれ異なるからだ。近年では、フィリピンで発見された原種に近い品種のカカオを復活させるプロジェクトにも参画しているそうだ。

現在、パレ ド オールで生産する商品の約8割に、社内生産のBean to Barチョコレートが使用されている。もちろん、獺祭ショコラにも。獺祭の純粋な味を引き立てる絶妙なチョコレートは、このようにして作られているのだ。

パレ ド オールでは2019年5月をメドに、東京・青山一丁目の店舗にBean to Bar工房を併設でオープンする予定。生産量がアップし、商品のうち多くが社内生産できるようになる。また工房はガラス張りにし、チョコレート制作の様子を眺められるようにする予定だそうだ。より耳目を集める東京で工房を開くということは、Bean to Barのチョコレートを広く印象づけることにもつながるだろう。

店内のショーケースには定番のボンボンショコラのほか、アルチザンタブレット(板チョコ)や季節限定の商品などが並ぶ(編集部撮影)

ここで、獺祭以外の注目の商品についても触れておきたい。まず12月7日に発売されたホワイトチョコレート「ショコラブランクリスタル」(1600円)だ。ホワイトチョコレートと言えば、歯が溶けそうなほど甘くて、バターのような濃厚な味わいがあるチョコレート。好きな人は好きだが、「何かいろいろ混ざっていそう」、さらには「太りそう」というイメージがある。しかしパレ ド オールのホワイトチョコレートは、その既成概念を打ち破ってくれる。植物由来のさわやかな風味があり、後味もさらりとしている。素材そのものの味と表現されるような、素朴な味なのだ。

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