平成最後の「有馬記念」はどんな決着になるか 歴史的決戦が続いた過去29回を振り返る

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今年の有馬記念は何と言っても障害最強馬オジュウチョウサン(牡7、美浦・和田正一郎厩舎)が参戦することが最大の話題だろう。7月7日に福島競馬場で行われた開成山特別に武豊騎手とともに参戦し平地競走で初勝利を挙げた。11月3日に東京競馬場で行われた南武特別も武豊騎手を背に連勝。

陣営は有馬記念参戦を目標にしていたが、ファンも後押しして10万票以上を集めてファン投票3位で出走権を獲得した。本番も武豊騎手との夢のタッグで出走する予定だ。今夏、開設100周年を迎えた福島競馬場を熱狂に包んだコンビが有馬記念でも主役を務める。

武豊騎手は「厳しいことは確かだが何とか結果を出したい」と静かに闘志を燃やす。「オジュウチョウサンのドラマは福島から始まった。あの時、見た人たちは今回の挑戦にそれぞれ感じることがあると思う。盛り上げたいし、声援を送ってほしい」とメッセージを寄せた。

ここまで平成の有馬記念で29戦中26戦で騎乗し3勝2着8回3着1回。平成で3勝はペリエ騎手と並んで最多タイで、11回の連対は文句なく最多だ。今年はJRA通算4000勝を達成。競馬の黄金期と言ってもいい平成の競馬を支えてきたのは武豊騎手だったのだとつくづく思う。

普段は馬券を買わない人も有馬記念だけは参加するという人が多い中、武豊騎手ほど馬券でも頼りになる騎手はいなかった。そして、武豊騎手にとって今回は40代で最後の有馬記念でもある。「この馬には夢がある」というオジュウチョウサンとのコンビは歴史的挑戦になる。

平成最後の有馬記念を制するのはどの馬か

ファン投票1位はレイデオロ(牡4、美浦・藤沢和雄厩舎)。昨年のダービー馬で今年の天皇賞・秋を制して完全復活した。今年JRAGⅠを勝ちまくるルメール騎手が有終の美を飾るか。

昨年の菊花賞馬キセキ(牡4、栗東・中竹和也厩舎)はジャパンカップで逃げて2着。この馬のつくった緩みのない流れがアーモンドアイの世界レコードを演出した。中山の小回りを武器に今度こそ押し切りたい。昨年のジャパンカップ勝ち馬シュヴァルグラン(牡6、栗東・友道康夫厩舎)、一昨年の有馬記念勝ち馬サトノダイヤモンド(牡5、栗東・池江泰寿厩舎)、一昨年のダービー馬マカヒキ(牡5、栗東・友道康夫厩舎)も復活を懸ける。

ハイレベルと言われる3歳勢からはダービー5着、菊花賞4着のブラストワンピース(牡3、美浦・大竹正博厩舎)がスタンバイ。アーモンドアイこそ不在だが役者はそろった。平成最後の有馬記念もファンを沸かせてくれるだろう。どんなドラマを見せてくれるか。歴史的瞬間を見届けよう。

高橋 利明 福島民報 記者

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たかはし としあき / Toshiaki Takahashi

1965年生まれ。子どもの頃から地元の福島競馬場に通う。1989年に成蹊大学卒業。入社2年目の1990年に念願の福島民報社競馬担当記者へ。1993年から本紙予想を担当。福島テレビ、ラジオ福島の競馬中継にも出演。永遠のアイドルホースはハイセイコー。競馬の現場記者であり続けることが目標。
 

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