日本の「キャッシュレス後進国」説に異議あり 独立系クレディセゾンの林野宏社長が激白
2019年10月に予定されている消費増税10%に備え、政府は中小商店などでキャッシュレス決済を行った消費者に、ポイントを還元する増税対策を打ち出した。2000年から社長を務め、金融危機やリーマンショックなど、数々の危機を乗り越えてきたクレディセゾンの林野宏社長はどう考えるのか。QRコード決済などへの対抗策や長期戦略、「ポスト林野」についても尋ねた。
――政府は2019年10月の消費税対策として、ポイントを活用する景気対策を打ち出しました。どう受け止めていますか。
「キャッシュレス」という概念をクレジット、プリペイド、デビットカードの3つ(の支払い手段)に絞って、これを現在の20%から(40%へ)倍増させる話になっている。だが、個人消費を活性化する目的なら、個人消費に対するキャッシュレス比率は、銀行振り込みも含めるとすでに51.8%あるとNIRA総合研究開発機構が示している。今の消費税対策は二兎も三兎も追おうとして、本当は何をしたいのか不鮮明だ。
中小企業(の店舗)で使った場合、5%のポイントを政府が助成するというが、当社ではその部分(中小企業)は取扱高のごく一部しかなく、大した効果がない。2019年10月からオリンピックまでとして、ポイント還元の実施は9カ月間。それに対してシステムなどいろいろな投資をするのは、なかなか難しい。だが、お客様に迷惑をかけられないので、形を整えないといけない。
規制をかけると業界がなくなる
――ポイント還元プログラム参加の条件として、政府は加盟店手数料引き下げを求める方針です。
競争原理が働いていて、当社では政府がポイント還元プログラム参加の上限とする3.25%以上の手数料はもうあまりない。
かつて上場していた多くのクレジットカード会社が、貸金業法の改正などを受けて、メガバンクの傘下に入った。上場会社として残っているところも、オリコ、ジャックスはメガバンク系、アプラスも新生銀行の傘下。入っていないのは、当社とイオングループ(イオンフィナンシャルサービス)、あと頑張っているのは楽天(カード)くらいだ。
規制法規ということをやると、業界ごとなくなってしまうようなことが起こる。当社のキャッシングの営業収益もピークから800億円減った。規制法規は時限立法にしてほしい。政府は介入しないで自然の競争に任せるほうがよいと思う。そうしないとイノベーションが起こりにくくなる。
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