「アーモンドアイ」が残した勝ち時計の衝撃 「2分20秒6」をひっさげ、いざ世界制覇へ

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国枝栄調教師(63)は「折り合いが最大のポイントだと思っていたが、1コーナーでコントロールが利いているように見えたので安心した」と振り返った。キセキが引っ張るペースで残り1600mからのロングスパート。とはいえ1000m通過は59秒9と、ここまでは決して速くなかった。

「いつものリズムで走っていた。向正面からボクは完全にパッセンジャー(乗客)」とルメール騎手。国枝調教師は「このペースであの位置なら大丈夫」。2人はくしくも「向正面で勝てると思った」と口をそろえた。

まだレースの半分を終えたところでジョッキーとトレーナーが勝利を確信していたというのだから恐れ入る。あとはキセキをどこでかわすか。直線残り300mで満を持して追い出すと手応え十分に抜け出した。まだまだ余裕を感じさせる勝ちっぷりだった。

「ロンジンの時計が優秀だからこんなに速いタイムになったんだろ。オレの腕時計はもっと遅かったよ」とジョークを飛ばした国枝調教師。それでも「すごく期待していたし、たぶん大丈夫とは思っていたけど、期待通りの結果でホッとした」と安どの表情を見せた。そして「いやあ、すごい馬だよ」と愛馬のケタ違いの強さに驚がくの表情も見せた。

凱旋門賞に行くべき「スペシャルホース」

ルメール騎手は「凱旋門賞に行くべき馬。行かないといけない」と日本競馬界の悲願達成へ向けて後押しした。かねてからルメール騎手はアーモンドアイを「スペシャルホース(特別な馬)」と表現してきた。

天皇賞・秋をレイデオロで制した時も2頭を比較した質問に対して「アーモンドアイは特別な馬」と最大級の評価を与えた。「今まで乗った馬の中でいちばん強い」と語ったこともある。

ジャパンC後、海外メディアの「日本初の凱旋門賞馬になるのか」という質問に国枝調教師は「アブソリュートリー(絶対に)」と答えて笑ったが、「エネイブルと一緒に走らせたい」と凱旋門賞初の3連覇を目指す名牝の名を挙げて対戦に意欲を見せた。

アーモンドアイの快挙に大きな役割を果たしたのが福島県にあるノーザンファーム天栄だ。美浦に所属するノーザンファームの前線基地で、天栄の調教馬はアーモンドアイのGⅠ4勝を含めて今年のJRAのGⅠ8勝。

秋のGⅠは秋華賞アーモンドアイ、菊花賞フィエールマン、天皇賞・秋レイデオロ、マイルCSステルヴィオ、ジャパンCアーモンドアイと5勝の快進撃で、もちろん天栄の年間記録を更新中だ。

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