沖縄タイムス記者が休職してまで学ぶ意味 社会部からデジタル、そして大学院へ
メディア自体の成長を考える意味でも、次の新しいものをどう作っていくか、他の分野にどう生かしていくかと、常に活路を探す視点を持っておくことは大切でしょう。そうすれば、悪い意味でのPV至上主義に陥ることはないと思います。
――今後、そうしたPVやアクセスログの活用法も、まだまだ進化していきそうですね。
そうですね。スマホのシェアが6割を超えたのは2013年のことですから、まだまだ過渡期にあると思います。
戦後の日本ののデザイン業界では、粗悪な商品を見極めるために、あえて政府が粗悪品ばかりを集めた見本市を催した、なんて話もあります。現在のインターネットはまさしく玉石混交の状態ですから、質の高い記事とはどのようなものなのか、人々がどのような記事を求めているのかを見極める時期なのかもしれないですね。
夫婦間の協力体制によって実現した大学院進学
――それにしても、ご結婚もされている與那覇さんがこうして単身上京するというのは、人生を左右する一大決心だったと思います。
そこについては、本当に夫には感謝しかないですね。そろそろ出産を意識しなければならない年齢ですが、一方で、大学院で学ぶなら34歳の今がラストチャンスであるとも感じていて。大学院進学については、夫と何度も話し合って、最終的には快く送り出してもらうことができました。
――つまり、それほど強い熱意と決意があったわけですね。
記者として10年やってきたものの、「私の中にまだ何もない」という思いが拭えなかったことが、こうした意欲を後押ししています。だから、今は毎日が貴重な学びの時間です。専門的な知識や技術はもちろん、もっといいデザインやコンテンツを知ることが、会社に戻った際にきっと役立つだろうと信じています。会社の後輩たちに向けても、家庭を持って働きながらでも、こうして勉強することができるんだという、1つの見本になればうれしいですね。
――今後の人生設計について、どのようにイメージしていますか。
具体的なイメージはまだありませんが、とにかく記者としていい仕事をしていきたい、ということに尽きます。私は決して器用なタイプではないし、知識が豊富なわけでもありません。それでも、できるだけ長く読まれる記事を書きたいし、私にしか書けないことをたくさん書きたい。
会社の休職制度の期間は1年間なので、どうにか年内に単位を取り終えて、来春には沖縄タイムスの現場に戻る予定です。でも、仕事に復帰してからも、今後こうした研究はずっと続けていきたいですね。
(取材・文:友清 哲/編集:ノオト)
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