アメリカ「セクシー離れ」で下着業界に大異変

ヴィクトリアズ・シークレットはもう古い?

同社の広告も、文化的なタブーに挑み、女性の体が実際にどうなっているのかに光を当てるものとなっている。トロントに住む写真家でレストランのオーナーでもある38歳のニッキー・レイ・マッキーンは、ニックスの複数の広告に登場している。マッキーンは昨年、両乳房切除の手術を受け、いまではブラジャーは着用していない。そのマッキーンの上半身裸の写真が、ソーシャルメディアやバス広告に使われている。

グリフィスは言う。「会社を立ち上げたときから、自社の顧客をモデルとして起用したいと考えていた。私たちの広告キャンペーンに登場するのは、みなリアルな女性たちだ。私たちのブランドの中には、そのリアルさが組み込まれている」。

「セクシー」というアイデンティティが問題に

こうしたオンラインの事業者の増加だけでは、ヴィクトリアズ・シークレットの低迷は説明しきれない。顧客は新しいブランドに引き付けられているかもしれないが、どの企業もLブランズの規模にはとても及ばない。同社はいまでもアメリカ最大のランジェリー企業なのだ。そして、同社にはいまも手頃な価格の商品がある。ブラジャーの価格は20ドルから70ドル。サードラブでは48ドルから84ドルだ。

だが、Lブランズの12人の取締役会には女性が3人しかいない(うち1人はウェクスナーの妻だ)。これにより、同社はさらに現実から乖離していると見られるようになっていると、フィラデルフィアの法律事務所、フォックス・ロスチャイルドのパートナー、メッテ・カースは言う。

「ヴィクトリアズ・シークレットのアイデンティティは、セクシーであることだ。まさにそのアイデンティティが、同社にとっての問題となりつつある。経営陣が本当に顧客とつながっているのか疑問視されている。経営層にもっと女性がいたほうが、状況がよくなるだろう」

両乳房切除手術を受けたマッキーンは言う。「ヴィクトリアズ・シークレットのモデルは本当にすばらしい。でも、彼女たちはリアルではない。もちろん現実の女性ではあるが、わたしたちの体に対する見方や、女性に対する見方を反映してはいない」。

(執筆:Tariro Mzezewa、翻訳:東方雅美)
© 2018 New York Times News Service

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