これに次ぐ企業がハリバートン(HAL)。
探査や試掘など掘削に関する支援から、セメント処理やパイプラインサービスなど幅広いサービスを世界規模で展開しており、中東地域を中心に、アメリカから見た地球の裏半分を管轄するため、ドバイにも第2本社を置いている。掘削機器やサービスを提供する同業のベーカーヒューズとの合併を図ったがアメリカ司法省の反対で断念に追い込まれた。
ちなみに、父ブッシュ大統領政権で国防長官、息子ブッシュ大統領政権で副大統領を務めたディック・チェイニー氏は、1995年から2000年まで同社のCEOであった。
パイプライン網を中心に輸送・貯蔵など中流部門を担うエネルギーインフラ企業としては、キンダー・モルガン(KMI)とONEOK(OKE)の2社が代表的な存在だ。前者は8.4万マイルのパイプラインで原油や天然ガス、ガソリンなどを輸送、また152のターミナルで各種石油製品を貯蔵している。後者は中西部を中心に、天然ガスを主体とする3.8万マイルのパイプラインと加工工場、貯蔵施設などを保有している。
前述のハリバートンとの合併が破談になったベーカーヒューズは、その後2017年にGEに買収される。GEの石油・ガス関連部門と統合され誕生したのがベーカーヒューズ・GEカンパニー(BHGE)で、上流から下流までフルストリームでサービスを提供する唯一の企業(同社ホームページより)というのが最大のアピールポイントだ。
上流部門では掘削・生産機器やサービスを、中流部門ではパイプラインのデータ分析などを、下流部門では精製設備やメンテナンスなどのサービスを手掛けている。
今後のリグの稼働数はどのようになるのか
油田から原油や天然ガスを掘削する場合に櫓状の構造物を設置するが、この構造物のことをリグと呼ぶ。ベーカーヒューズはこのリグの北アメリカ地域での稼働状況についての統計を発表しており、石油業界の重要な指標として注目されている。
リグの稼働数が増えると生産量は増加し、原油価格を押し下げる要因となる。別の見方をすれば、原油価格下落時にはリグの稼働を抑え生産量を減らし、したがって原油価格は反転上昇に向かうということになる。
上図から、2014年後半に原油価格が急落し、リグの稼働数も大きく減少したが、2016年初めに価格が底を打って上昇に転じると、やや遅れてリグの稼働数も増加に転じ、現在まで緩やかながら稼働数の増加傾向が続いていることがわかる。一方の原油価格、これまで上昇傾向が続いてきたが直近になり急落を示しており、今後リグの稼働数がどう変化するか注目される。
2014年から2015年にかけての原油価格急落や生産量激減の影響から、アメリカのエネルギー企業は2015年の決算で軒並み業績を悪化させ、多くが赤字に転落し、なかには破綻した企業もある。こうしたなかで資産売却などを行う一方、合併などにより規模の拡大や体質強化を図ってきた。その成果もあり、苦境を乗り越えてようやく本格的な復活が見え始めている。
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