かつてのメジャーに次ぐ地位にあるコノコフィリップス(COP)。
2002年にコノコとフィリップス石油が合併して誕生した当時は上流から下流まで展開する総合企業だったが、2012年に下流部門をフィリップス66(PSX)として分離し、上・中流分野に特化している。アメリカ国内のほか、南米、中国、東南アジア、欧州、アフリカなど世界17カ国で事業を行っており、直近ではBPからアラスカの権益を取得している。
アメリカ国内とカナダを主戦場とするデボン・エナジー(DVN)。アメリカ国内はテキサス州で原油と天然ガスを、オクラホマやロッキー山地とカナダで原油を探査・開発・生産し、併せてガス処理プラントとパイプラインを展開している。オクシデンタル石油(OXY)はアメリカ国内パーミアン盆地と中東(オマーン、カタール、UAE)、南米(コロンビア、ボリビア)で上・中流部門の事業を行っている。なお子会社のオキシケムは、苛性カリ(水酸化カリウム)や塩化カルシウムの生産で世界トップだ。
今度は中流から下流へと下ってみたい。
前述のコノコフィリップスから分離したフィリップス66(PSX)は13の製油所と8.7万マイルのパイプラインを持ち、傘下のMLP(マスター・リミテッド・パートナーシップ)により輸送・貯蔵事業を行っている。また全米48州で7500店以上の小売店網を持ち、ガソリン、ディーゼル燃料、航空燃料などを販売。さらにシェブロンとの合弁の石油化学事業は、さまざまな産業向けに各種の化学製品を提供している。
中・下流でフィリップス66と双璧をなすのがバレロ・エナジー(VLO)、石油精製企業としては世界でもトップクラスで、アメリカ国内とカナダ、イギリスに15の製油所をもち、処理能力は日量310万バレルを誇る。これは日本全体の処理能力(同334万バレル、BP資料)に肉薄する規模だ。またアメリカ国内に11のエタノールプラントを所有しているほか、「バレロ」をはじめとする複数ブランドの小売店約7400店を展開している。
1887年に創業し、一時はロックフェラーが設立したスタンダード・オイルの一部となり、また1982~2002年までUSスチールの傘下にあったマラソン・オイルから2011年に下流部門が分離して誕生したのがマラソン石油(MPC)。
石油精製、輸送・貯蔵、小売と幅広く手掛けており、小売は東部20州で「マラソン」ブランドのガソリンスタンドと、全米2位のガソリンスタンド併設コンビニエンスストアチェーン「スピードウェイ」を展開している。
今年4月に同業のアンデバーを233億ドルで買収すると発表し、10月に統合が完了した。石油精製能力ではマラソン石油の日量188万バレルにアンデバー10製油所の日量115万バレルが加わり、一気にトップクラスに浮上。小売でも、中西部および南部18州で展開する約3300店のガソリンスタンドが仲間入りし、ほぼ全域をカバーする格好となった。
周辺分野にも大きな市場
裾野の大きなアメリカのエネルギー産業だけに、周辺分野にも多くの企業が関わっている。上流部門の探査や開発には、油田やガス田の地層の評価や調査、試掘などさまざまな調査や支援が行われるが、この分野でトップクラスの地位にあるのがシュルンベルジェ(SLB)だ。
フランスで創業したがすぐにアメリカに進出、現在はテキサス州ヒューストンとパリに本社を構えている。世界85カ国に拠点や研究所を持ち、探査、採掘、検層、試掘、評価など幅広い事業を展開している。2015年のキャメロンをはじめ、同業や関連分野の企業を買収しながら拡大してきた。
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