「ゴミ清掃員」の何とも大変で時に愉快な現場 「濡れた畳を捨てる苦労」を知っていますか?

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9. 判断に困るゴミ

(イラスト:タナカリヨウスケ)

ゴミ箱のゴミを出されると、ゴミ容器として使っているのか、ゴミとして出しているのか判別に困る。

お母さん、あなたもですか

10. 長年、ゴミ清掃員を続けると…

(イラスト:タナカリヨウスケ)

とうとう母親まで、僕に分別のことを電話で聞いてくるようになった。

『このゴミは収集できません ゴミ清掃員が見たあり得ない光景 』書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

ここまでイラストとともに、ゴミ清掃員しか知らない「あるある」を紹介してきた。最後はゴミ清掃員の1日を紹介して、終わりにしたい。

午前の作業が終わり、昼食をとったら残りは午後の作業。早ければ13時半に終わるが、遅ければ16~17時になる。回収内容によって帰る時間が違う。早く終わろうが遅く終わろうが給料は同じなので、やっぱり早く終わるほうがいい。

体が疲れたというより長いなぁ、まだ終わらないのかなと思う。作業がすべて終わると明日は早く終わる現場がいいなと願う。早く終わる日だと明日もまた早い現場がいいなと言霊を信じて独り言を言う。

そんなことを思っていると運転手が「何か飲む?」と自販機を指さす。

僕:いいんすか?
運転手:いいよ。遅くまでご苦労さん。懲りないでまたこの車乗ってよ。あの車乗るのは嫌ですとか言わないでよ。
僕:言わないですよ。またお願いします

僕は缶コーヒーのボタンを押す。

ゴミ清掃の人たちは優しい。僕に居場所を作ってくれる。ここに居場所を作ってくれる人たちがいるから、僕はまだお笑いをギリギリ続けることができている。だから仕事が長いとブーブー言うわけにはいかない。

仕事の後のコーヒーが体にしみておいしい。今夜も酒を飲まずに晩飯食って寝ようと思う。その前に会社に帰って、ひったくるように給料を握ってとっとと家に早く帰って横になりたいと思う。

こういう生活を僕は6年間している。

滝沢 秀一 ゴミ清掃員、お笑い芸人

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たきざわ しゅういち / Syuuichi Takizawa

1976 年、新潟県生まれ。1998 年に西堀亮とお笑いコンビ「マシンガンズ」を結成。2012 年、お笑い芸人の仕事を続けながらゴミ収集会社に就職。オンラインコミュニティ「滝沢ごみクラブ」を立ち上げ、環境にまつわる啓発活動にも携わる。2020 年、環境省「サステナビリティ広報大使」に就任。また2023 年にはクーリエ・ジャポン「世界が注目した日本人100 人」にも選出される。『このゴミは収集できません』(白夜書房)、『ゴミ清掃員の日常』(講談社)他、著書多数。2023年、フジテレビ「THE SECOND」にて準優勝。

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