息の発見 五木寛之著 対話者 玄侑宗久
意識せずに自然にできるからだろうが、呼吸は軽視されすぎてはいないか。生命活動に直接つながる呼吸は精神的にも重要で、仏教とも深くかかわっている。というわけで仏教、健康の専門家でもある大作家と、博識をもって知られる作家で禅僧の玄侑宗久氏が語り合って生まれた対談本だ。
息を吸うことよりも「呼」つまり吐くことが重要である、から始まり、どのように、どんなイメージで吐くとよいか等々、「より良い呼吸とは」が論じられる。もちろんハウツー本などではまったくなく、宗教界の先達たちの考え方、故事来歴、多彩なエピソードなどを交えつつ、対話者の膨大な知見が展開されていく。
とはいえ単に呼吸について論じた本ではない。睡眠、健康、医療、生と死、仏教、禅的なもの、東西文明論に至るまで縦横無尽、知的好奇心を大いに満足させてくれる。そしていつの間にやら「息」の話に戻ってくるところなど、巧まざるユーモアも感じられる。(純)
平凡社 1470円
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