対して、林道での走りは秀逸だ。
レーシングマシンそのもののフレームとサスペンション回りのお陰で、出力制限されたエンジンとは言え、車体は元来もつコーナリングスピードの楽しさを満喫することができた。さらに言えば、水を得た魚の如く、林道でのサスペンションアジャストこそハンドリングにすぐ成果が表れた。
林道ではまずスタンダードの状態での走行からスタートし、走行を重ねながら前後サスペンションを大きく動かす方向にセットを施すことでさらなる路面追従性を体感できた。このあたりの、わずかなセット調整が可能なところこそ、レーシングマシンそのものと言えるゆえんだ。弱アンダー気味のハンドリングをスロットルワークとピッチング操作で向きを変えていく。
また、ブレーキング性能もコントローラブルで特筆に値する。この精度の高いハンドリング性能こそ、レーシングマシンと同じ車体性能の旨味と言えるのではないか。
レーシングマシンを公道で!
純レーシングエンジンを国内公道走行に適合したエンジンとして作り込んできたホンダ。出力こそ控えめではあるが騒音規制もクリアしたことは驚愕だ。そして車体に関しても競技マシンCRF450Rと同じと言っていい仕上がり。さらには保安部品まで、レーシングマシンCRF450Rと70%以上の部品を共有しているというから納得できた。
モーターレーシングがお好きな方であれば1度は考えたことのある「レーシングマシンを公道で!」。これをまさにメーカーが可能にしてくれた夢のマシンだ。
多くの方に夢の実現を可能にするために、車高も下げた。エンジン出力も下げた。保安部品の装着で重量も増加した。販売価格は高くなった……。
しかし、それらはどれも「ほんの少し」という程度と判断していいだろう。
本物の持つオフロード性能を多くの人に体感してもらえる貴重な1台は、129万6000円(税込)で国内500台の販売だ。
これが「CRF450L」の全貌だ
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真横から見た様子
(撮影:尾形文繁)
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正面から見た様子
(撮影:尾形文繁)
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LEDヘッドライトは軽量コンパクト設計
(撮影:尾形文繁)
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ABSは装着されていないが、ブレーキは扱い易い
(撮影:尾形文繁)
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メーターは視認性の良いデジタルメーター
(撮影:尾形文繁)
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ハンドルスイッチ右
(撮影:尾形文繁)
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ハンドルスイッチ左
(撮影:尾形文繁)
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専用設計のラジエーターファンも装着
(撮影:尾形文繁)
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フレームと黒いタンクカバーの下にチタンタンクが見える
(撮影:尾形文繁)
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左右ステップもオフロード専用ステップ
(撮影:尾形文繁)
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チェンジペダルも可動式で万が一の転倒にも対応
(撮影:尾形文繁)
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転倒時も曲がって衝撃吸収するよう簡単に動く
(撮影:尾形文繁)
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ウインカーは転倒時のダメージ軽減を意識
(撮影:尾形文繁)
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フレキシブルラバーマウント採用
(撮影:尾形文繁)
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マフラーはキャタライザー内蔵で排ガス規制に対応
(撮影:尾形文繁)
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スイングアームにはデスクカバーやチェーンカバーを装着
(撮影:尾形文繁)
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筆者が座ってもわかるようにバイク自体の薄さも特徴的
(撮影:尾形文繁)
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背後から見た様子
(撮影:尾形文繁)
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みやぎ ひかる / Hikaru Miyagi
1962年生まれ。1982年鈴鹿サンデーオートバイレースに於いてデビュー3位。直後にモリワキレーシングと契約、1983年鈴鹿4耐で優勝、同年全日本F3クラスとGP250クラスに於いてチャンピオン獲得。1984年全日本F3クラス、F1クラスチャンピオン獲得。1988年HondaのHRCと国内最高峰GP500ccライダーとして契約。1993年より活動の場をアメリカに移し、全米選手権でチャンピオンになるなど、日本だけでなく海外でも活躍。1998年からは国内4輪レースでもその才能を発揮し、翌年の「4輪スーパー耐久シリーズ」ではチャンピオンを獲得する。また、世界耐久選手権シリーズ・鈴鹿8時間耐久ロードレースでは2003年より5年間ホンダドリームレーシングの監督を務めた経験ももつ。2016年には米国ボンネヴィルにおいて4輪車の世界最高速度記録を達成、世界記録保持者。開発車両ではTeam無限のマン島TT参戦車両・2輪電動マシン「神電」の初期からの開発ライダーを担当し2018年時点で5連勝中、2019年もチャレンジする。一方では、警視庁及び企業向け交通安全講話やライディング&ドライビング講師、専門学校講師などのほかに、 日本テレビのMotoGP解説者や雑誌などのメディアでレースやバイクの解説を務めるなど、多方面で活躍中。ホンダ・コレクションホールではホンダ歴代の2輪4輪グランプリマシンの維持管理テストレーサーを務める。無類のラジコン好き。
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