中国No1大学、北京大生たちのシューカツ 中国エリート学生座談会(下)

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孫凱:僕にとっていちばん重要なのは、やはり仕事の内容ですね。先ほどお話したように、僕には2つの理想があるので、それを実現できる仕事に就こうと思っていました。

それに30歳から35歳くらいで起業したいと考えています。今の仕事であれば、多くの企業の経営状況や財務、商業規模などを理解できるので、起業の役に立つでしょう。

実はコンサル業界でもインターンをしたことがあります。そちらに進まなかったのは、仕事内容に興味が持てなかったというのもありますが、実のところ、PEのほうがコンサルより大変じゃないからです。

――やっぱり楽なほうがいい?

孫凱:以前、コンサルの仕事をしたときはいつも残業で、徹夜になることもありました。PEも時にはちょっと大変ですが、興味のあることですし、コンサルに比べれば、朝9時に出勤し、夜、少し早めに帰宅するということも可能です。出張は多いですが、2~3日ですし、市内の客先に出かけた後、直接帰宅することもできるでしょう。でもまあ、いちばんの要因は興味があるかどうかですね。

――お話を伺うと、みなさん、おおむね希望どおりの会社に決まったと思うのですが、就職先に何か不満はありますか?

劉晨:僕はだいたい満足しています。不満点を挙げると、勤務地が香港だということです。僕は東北地方の出身なので、実家からかなり遠くなってしまいます。僕自身は別に構わないのですが、中国はご存じのとおりみな一人っ子なので、両親が寂しい思いをするでしょう。

陳慧芳:私もだいたい満足ですが、不満な点は残業が多いことでしょうか。以前、就職先でインターンをしていたときは、夜12時にボスから電話があり、夜中2時半まで仕事をしたこともありました。当時、プロジェクトが切羽詰まると、そんなことが週に1回でなく何度かありましたね。

出張も多く、休日でもボスが電話をしてきて、「明日、出張」と言ったら、トランクひとつ持って出かけ、帰ってくるのは1週間後なんてこともあります。

週末はメールオフ

――それでもだいたいは満足?

陳慧芳:せめて夜12時には仕事が終わり、睡眠時間を7~8時間確保できれば、プライベートがまったくなくても、妥協しようと思います。

曹英娜:私は北京の中心部に実家があるので、そこから通うことになるのですが、職場は郊外で、1時間以上かかります。不満といえばそのくらいでしょうか。

――残業があると大変そうですね。

曹英娜:私の就職先のいいところは、残業がないことなのです。CEOから新入社員まで、みんな夕方5時になったらそろって帰宅します。週末は仕事用の携帯はオフにして、メールもチェックしません。

全員:お~~~~!!!

呉雪峰:今どき、そんな会社もあるんですねえ。私は残業しないわけにはいかないだろうなあ。それはいいのだけれど、心配なのは残業代が出ないらしいということですね。

――残業代が出ないこともあるのですか?

呉雪峰:出張費は出ますが、オフィスで仕事をしていて、ボスから「ちょっと残って」と言われたら、その数時間は残業代として加算されないらしいです。

孫凱:それは加算されないだろうな。中国の今の職場なんて、どこもそんなものだよ。どちらにしろ、年末にボーナスが出るし、プロジェクトのリベート次第でしょうね。

僕の不満な点を挙げると、勤務地が北京だということですね。長期的にはいずれ広州や深セン、香港で働きたいと思っています。あちらのほうが実家に近いし、北京より空気がいいですから。

※この座談会は「アジア・トップ大学生の就職実態を探索する」/リクルートワークス研究所の調査のために行われたものです。

※登場人物の名前はすべて仮名です。

田中 奈美 ルポライター

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たなか なみ

東京都生まれ。2003年より北京に留学。中国の社会生活やビジネスに関するルポを各紙誌に発表。著書に『北京陳情村』(第15回小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作)『中国で儲ける―大陸で稼ぐ日本人起業家たちに学べ』(新潮社)がある

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