「疲れ」がいつまでも取れない人の根本原因 重要なことは「疲れ」からの急速な回復だ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「疲れ」と向き合ううえで大事なのは、まず、「疲労」と「疲労感」は違うと理解することだ。

難しいのは、本人がどれだけ疲れているのか、客観的に測定する”ものさし”が用意されていないということである。

現在では脳機能や血液の検査を行い、生化学的な評価を下すことによって、ある程度、信頼性の高い疲労度を測定できるようになったが、それでもまだ、本人が「どれだけ疲労を感じているか」というのは、あくまでも個人的な感覚であり、検査データと乖離することも少なくない。

つまり、「疲労」とは「物理的な体の疲れ」であり、「疲労感」とは「本人が疲れたと感じる度合い」のことであり、この2つが完全に一致していないということに、疲労を解決する難しさがあるのだ。

これはアスリートのみならず、すべての人に共通する。

たとえば、ものすごく過酷でプレッシャーのかかる仕事をしているときでも、周囲から高く評価され、やりがいを感じているなら、それほど「疲れた」という感覚を持たないだろう。

だがその一方で、単調で面白くない作業を延々と強いられたり、退屈な会議に出席したりするときには、たちまち疲れを感じるはずだ。

このように、「疲労感」という感覚は非常に主観的なものであり、本人の意欲ややる気に大きく影響を受けるのである。

良いリカバリーの条件とは?

しつこい疲れを取るために、ぜひ実践したいリカバリー法を紹介したい。

まず、「良いリカバリー」とはいったいどんなものか、定義してみよう。

「リカバリー」とは直訳すれば「回復する」「取り戻す」という意味だ。ということは、「今は一時的に失ってしまったけれど、以前は元気だったことがある」ということが前提になってくる。

ここ数年、慢性的に体調が悪く、「元気に満ちあふれていたときのことを思い出せない」という場合は、残念ながらリカバリーとはいわない。その場合は、病気を治癒することが必要になるだろう。

人間はそもそも生物学的に、30歳以降になると加齢により体力が衰えるのは当然だ。どんな一流アスリートでも、年齢の壁を越えることは難しい。

なかには頑張って現役生活を続ける選手もいるが、それでもかつての黄金時代に比べればスタミナは落ち、反射神経も衰え、「昔とは何かが違う」という違和感を覚えることはやむをえない。

だが、生活の中で上手にリカバリーの習慣を取り入れると、若かった頃の全盛期とまではいかなくても、ある程度は体力や気力を復元することができる。

疲労してもきちんと疲労回復物質を出すことができれば、疲労する以前よりも心身のパフォーマンスは向上する。つまり、「良いリカバリー」とは、「疲労」と「回復」をスムーズに繰り返すことであり、日頃から疲労回復能力をできるだけ上げておくことが、「良いリカバリー」には欠かせないのである。

次ページリカバリーを考える上で重要な点
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事