氷河期に入った米国の個人消費、酷寒のクリスマス商戦に

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パソコンやデジタル化を目前に売れるはずのデジタルテレビを販売する家電小売店も苦しんでいる。

米家電販売2位のサーキットシティは11月10日、米破産法11条の適用を申請した。同社は、破産による経費削減と店舗閉鎖でコストを圧縮して財務内容を改善させ、ベンダーからのプレッシャーを弱めて年末商戦へ挑む狙いだ。4万人の社員を抱えるサーキットシティのバージニア州本社では、すでに700人が解雇された。2カ月以内には1300人が削減される予定だ。

家電販売トップのベストバイも他人事ではない。既存店の10月売上高が7・6%と激変した。同社は11月から2009年2月までは5~15%減少すると予測し、年間では最大8%の減収になるという。「任天堂DSやゲームなど、比較的単価が安いものは売れるが、パソコンや大型テレビといった1000ドル以上の商品はさっぱり売れない」(同社社員)状況だ。同社のブラッド・アンダーソンCEOも「9月半ばから、消費行動が急減し、これまでで最も困難な状況」と声明を出した。

破産は小売業界に伝染している。デパートのマービンズ、寝具等販売のリネン&シングズ、洋服のスティーブ&バリー、靴の小売店シューズ・パビリオン、デザイン家電販売のシャーパー・イメージ、宝石店ホワイトホール・ジュエリーなどが、破産手続きに入っている。

ほかに業績悪化で経営危機を噂されるのが、デパートのディラーズ、女性向け衣料販売のタルボッツ、洋品小売りのエディー・バウアー、ナスダック上場のギター・センターやデパートのゴッチャチョークス、東海岸のボントンなどだ。

米国では就業人口の約1割が小売業で働いている。ここでの雇用環境の悪化が米国全体の不況風を勢いづかせているのは間違いない。

消費の冷え込みは富裕層にまで及んでいる。株価や不動産の暴落で資産が減り、危機感を抱く彼らは、高級グッズから離れる傾向にある。プラダの1700ドルのブーツと、1300ドルのイブニングシューズを買った女性が数時間後、返品するケースも珍しくない。高額所得者は従来に比べ1、2ランクを下げた小売店を利用する傾向が強まっている。

また、南カリフォルニアのマリーナでは、ボートのオーナーがヨットの停泊代を払えず、20万ドルのボートを置き去りにして消えてしまうケースもある。ボートを売りたくても売れないので、マリーナの月々の停泊代を引き下げる交渉は、ボートオーナーにとって日課となっている。


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