JALパイロット「飲酒逮捕」問題の根本原因

急成長の裏で、過重労働が空の安全を脅かす

最新型のアルコール検知器はすでに国内空港には配備されていたが、海外空港での導入は1年以上も遅れていた。今後は速やかな配備を進めたうえで、検査時に地上スタッフが立ち会うことを義務づけ、従来は乗務開始の12時間前までとしていた飲酒を24時間前までへと厳格化する。

赤坂社長は事件発生後に社員に宛てたメールで、「アルコールに起因する案件がたびたび発生していたにもかかわらず、これを防ぐ体制をスピーディーに構築できなかったことは、私をはじめ経営の責任だ」と述べている。

なぜ、徹底した安全教育を受けているはずのパイロットが、このような事態を引き起こしてしまったのか。理由の一つには、JALのパイロットを取り巻く環境の変化が挙げられる。

パイロットの労働環境が過酷に

自身もパイロット出身の進氏は、「私が現役だった破綻前に比べると、フライトのペースはかなり忙しくなっている。それが影響したかもしれない」と語る。JALは2010年の破綻を経て経営改革を断行し、業績を急ピッチで回復させてきた。近年は路線拡大も目立っており、そのしわ寄せが現場のパイロットに来た可能性は否めない。

JALの進俊則・運航本部長はパイロットの負担が増していることを認める(記者撮影)

さらに、ストレス管理教育が不足していたと指摘するのが、元JALのパイロットで航空評論家の小林宏之氏だ。「健康・ストレス管理の訓練を定期的にやるようにと提言しているが、なかなか実現していない」(小林氏)。JALの進氏は「フライト自体にストレスを感じるかというと、それは乗員として当然のこと」という。だが小林氏は、「離着陸だけでなく、どんなトラブルがあっても対応するという意味で想像以上にストレスの多い仕事」と強調する。

逮捕されたA氏個人のパイロットとしての自覚が欠如していたことも明白であり、JALも報告書で「規定順守の意識やアルコールの影響に関する認識・知識が不足していた」と結論づけた。

A氏はセキュリティスタッフに呼び出された際に「酒は飲んでいない」と大声で叫んだというが、同氏を知るJAL関係者は、「普段は暴れるような人ではなかった」と明かす。小林氏も「個人の問題にしてしまうとほとんど解決できない。国も企業も意識が甘かった」とする。

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