JALが「矢継ぎ早」海外提携に踏み込んだ背景 ハワイ、中国、東南アジア…空白地帯を埋める
日本航空(JAL)が、全日本空輸(ANA)の“仲間”を囲い込みにかかった。
JALは今年9月、ガルーダ・インドネシア航空との包括的業務提携に合意した。10月末から、日本とインドネシアを結ぶ路線や、日本を発着するJALの北米路線でコードシェア(共同運航)を始める。
JALが今力を入れるのが、日本を経由して東南アジア─北米間を移動する航空需要の開拓だ。日本人や訪日客の利用だけでは、成長は頭打ちになる。東南アジア─北米路線は距離が長いため直行便が少なく、日本、特に成田空港が経由地として地理的に優位だ。
ガルーダは現在ANAとコードシェアを行っているが、今後提携を解消する見込み。ガルーダ側が要望していた日本発着の北米路線でのコードシェアが実現しなかったためとみられる。その条件を受け入れたのが、JALだった。
JALとANAは東南アジアで格差
東南アジアと北米を結ぶ需要は、ライバルのANAも戦略の中心に据えてきた。自社便の拡充のほか、ANAが属する航空連合「スターアライアンス」の加盟社と提携。さらにガルーダや、もともとJALが組んでいたベトナム航空など連合外の会社にも提携を広げた。こうしてANAの東南アジア路線は21路線、提携先は5社まで広がった。
一方、2010年に経営破綻したJALは公的資金を注入され、ANAとの競争環境是正のため、2017年3月末まで新規路線就航や投資が制限された。東南アジアでは18路線あるが、提携先は同じ航空連合「ワンワールド」に属するマレーシア航空1社にとどまっていた。
制限期間が終わり、JALがようやく反撃に乗り出したわけだ。2017年7月、ベトナム最大のLCC(格安航空会社)ベトジェットを皮切りに、この1年超で海外7社との提携を発表。異例のスピードで“仲間づくり”を加速している。
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