JALが「矢継ぎ早」海外提携に踏み込んだ背景 ハワイ、中国、東南アジア…空白地帯を埋める

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

すでにハワイアン、中国東方とはATIを申請済みだ。長年JALが牙城としてきたハワイ路線では、来春ANAが超大型機エアバス「A380」型機を導入する。JALは来年にも始まるハワイアンとのJVで対抗する考えだ。「われわれのJVが認められれば、健全な競争を促せると当局には伝えている」(ハワイアンのテオ・パナジオトゥリアス上級副社長)。

JALはハワイアン航空とのJVを進めることで、ANAの「A380」就航に対抗する(写真:ハワイアン航空)

また、中国東方とは長らくコードシェアを実施してきたが、JVにまで踏み込み、巨大市場の中国での存在感向上をもくろむ。

むろん、確実に集客が見込める路線であれば、自社便のほうが有利だ。利益は“丸取り”できるし、提携相手とサービス水準を合わせるといった手間暇もない。JVは相手との信頼関係が必須で、自社の事情だけでは動けない側面がある。

自社便に関して大島氏は、「需要次第で現状の路線の増便はあるだろう。ただ(現在路線を敷く)米サンディエゴやボストンのような中規模以下の都市で、新規地点に就航するのは現実的ではない」と話す。

ANAは自社便を拡大

一方、ANAは自社便の拡大に意欲的だ。2020年には羽田空港の国際線発着枠が1日50便拡大する。その活用はもちろん、2019年には成田でも国際線の便数を増やす計画を掲げる。

JPモルガン証券の姫野良太アナリストは、「航空市場が伸び続けるのであれば自社便が有効だが、固定費の大きいビジネスのため、まさかの時に備えるなら、JALのほうが得策ということになる」と見る。羽田枠の獲得においても、JVを展開していれば提携先の枠も活用できる算段がある。

「フェイス・トゥ・フェイスの協議がモットー。今後はアジア地域で提携パートナーを増やしていく」(大島氏)。新たな仲間たちと絆を深められるか。JALの将来が懸かっていると言っても過言ではない。

中川 雅博 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事