日テレ「イッテQ!」騒動に見えた致命的ミス 「文春砲第2弾」より深刻な初動対応のまずさ

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さらに、「番組がコーディネート会社に支払っている撮影経費の中から、開催費用や賞金、参加費、協力費などが支払われていることもありました。コーディネート会社との長年にわたる協力関係に甘え、企画についての確認が不十分なまま放送に至ったことについて、当社に責任があると考えております」「『祭り』企画に関しましては、現在、詳細を確認中です。今回のような事態を招きましたことを、お詫び申し上げます」とようやく責任を認めて謝罪のフレーズを発したのです。

しかし、遅きに失した感は否めませんし、やはりタイのサイヨン村に対する謝意の言葉はありませんでした。

15日夕方、日本テレビの大久保好男社長が会長を務める日本民間放送連盟の定例会見で、「制作陣が祭りの企画の解釈を拡大しすぎて、視聴者の皆様が祭りという名前でイメージするには無理があるものまで扱ってしまった」と釈明しつつ「お詫び申し上げます」と謝罪。さらに、「ロケに協力してもらう点もあるので、コーディネート会社を通じて賞金、謝礼を支払ってもらっているとのことでした」「現地のコーディネーターは外部の人とはいえ我々の大切な協力者であり、番組の成立に不可欠な存在です。番組サイドの方であることに間違いありません」と文書の内容を撤回して自社の責任を認めました。

ただ、トップが謝意を示したとは言え、このコメントだけで事態が収束するとは思えません。

危機のとき真っ先に守るべきは誰か

もう1点、人々の反感を買っているのは、出演者たちが矢面に立たされていること。MCの内村光良さん、「世界で一番盛り上がるのは何祭り?」担当の宮川大輔さん、準レギュラーの出川哲朗さんらが記者に追われ、コメントを求められています。

前述した「反省」の文書でも、「週刊文春」へのコメントでもいいでしょう。「出演者に非はない。スタッフサイドの問題」とはっきりさせておくだけで、このような事態は避けられたのにそれをしなかったようなのです。

さらに、18日放送分の収録時に、内村さんが一連の騒動を謝罪したことが明らかになりました。しかし、今回の騒動は、現場のトップが謝罪するだけでは何の解決にもなりません。日本大学、日本ボクシング連盟、日本体操協会などの今年起きた騒動を見ても、組織のトップによる謝罪が事態収束の最善かつ唯一の方法であることは、今や周知の事実なのに、それが見られないため、人々は不満をもらしているのです。

危機が訪れたとき、真っ先に守るべきなのは誰なのか? 「番組や出演者」と言いながらも、自分たちの立場を守るような対応をした日本テレビのミスであり、それに多くの人々が気づいています。人々はこのような大企業の保身を嫌うだけに、「都合の悪いことがあると自分の身だけ守って逃げるのが、日本テレビの社風なのだろう」というさらなるイメージ悪化にまでつながりかねません。

日本テレビとしては、「近年最大の強みとなっている日曜夜の“真ん中”が抜けることだけは避けたい」という事情がありました。「ザ!鉄腕!DASH!!」「イッテQ!」「行列のできる法律相談所」を立て続けに見る視聴者が多いため、真ん中の「イッテQ!」が最も重要であり、ダメージを最小限に留めようとしたことは想像に難くありません。しかし、そんな自社にとって都合のいい事情を優先させたことが、ダメージを倍増させてしまったのです。

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