北朝鮮の富裕層で増える「どハデ婚」の中身 こっそり見ている韓流ドラマの影響で

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

富裕層の結婚式では、司会者に加えて、タレントやミュージシャンが招待されるのが一般的だ。これら芸能人の一群は「雰囲気集団」と呼ばれ、その名のとおり、めでたい雰囲気を作り出すのが仕事になっている。

司会者のスピーチが終わると一連の儀式は完了し、食事となる。料理の値段はレストランの格にもよるが、列席者1人当たり5〜15ドルが相場。北朝鮮の最高級ホテル、高麗(コリョ)ホテルの宴会場となると20ドルになる。北朝鮮ではこれはかなりの金額だが、高麗ホテルの料理は実に美味だ(これは筆者が最近、直接経験したことである)。

北朝鮮の「ご祝儀」はいくらくらいか

列席者は単に食事をするだけではなく、数時間ほど歌や踊りが続く。パーティを全力で盛り上げ、祝いの場にふさわしい雰囲気を作り出すのが、例の「雰囲気集団」だ。

結婚式では祝儀を渡すのが習わしというか、列席者の義務になっている。以前は、ロシア(旧・ソビエト連邦)の伝統にならって、結婚式の贈り物は金銭ではなく品物と決まっていた。お金をプレゼントするのは、とんでもなく無礼なことと考えられていたからだ。

しかし最近では、祝儀として金銭を贈ることが北朝鮮でも一般化しつつある。韓国では以前からそうだった。金額としては、少なくとも祝宴にかかった1人当たりの費用を上回る額を包むのが礼儀であり、10〜30ドル相当となるのが普通だ。

平壌で行われる結婚式には、北朝鮮で起きている変化が色濃く映し出されている。北朝鮮では格差が拡大してきているが、それと同時に消費文化が台頭し、国民の間では人生を謳歌したいという気持ちが強まっている。

富める者はさらに豊かになり、貧しき者も――ゆっくりとではあるが――以前ほど貧しくはなくなってきた。そして、誰もが人生を楽しもうとしている。これが現代の北朝鮮社会なのである。

(執筆:アンドレイ・ランコフ)

筆者のアンドレイ・ランコフ氏は韓国・国民大学教授。旧ソ連のレニングラード国立大学を卒業後、同大学院で博士課程を修了。北朝鮮研究の世界的権威で、北朝鮮の金日成総合大学に留学した経験もある。北朝鮮ニュース取締役。
「北朝鮮ニュース」 編集部

NK news(北朝鮮ニュース)」は、北朝鮮に焦点を当てた独立した民間ニュースサービス。このサービスは2010年4月に設立され、ワシントンDC、ソウル、ロンドンにスタッフがいる。日本での翻訳・配信は東洋経済オンラインが独占的に行っている(2018年4月〜)。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事