北朝鮮の富裕層で増える「どハデ婚」の中身

こっそり見ている韓流ドラマの影響で

最初の目的地は、金一族の銅像になるのが一般的だ。新郎新婦は大抵、平壌中心部の万寿台(マンスデ)にある金日成主席と金正日総書記の巨大な銅像へと足を運ぶ。そこで2人は深くお辞儀をし、「永遠の主席」と「永遠の総書記」に永遠の忠誠を誓う。そして、銅像の足元に花を手向けるのだ。これは平壌を訪れる外国人観光客にもおなじみの光景となっている。

続いて新郎新婦はカメラマンを伴い、平壌市内を車で移動。背景の美しい場所をいくつか回って、写真や動画を撮影する(最近は動画が増えている)。撮影された動画は最終的に1本の映像作品として編集される。こうした「ビデオサービス」の料金は、一般に100〜300ドルといわれている。

富裕層の結婚式を盛り上げるタレント陣

撮影が終わると、新郎新婦は挙式のために結婚式場かレストランの宴会場に向かう。2000年代初頭以降、北朝鮮でも専門の結婚式場が増え始め、金正恩氏が最高指導者になってからは全国的な成長産業になっている。貧しい人々は今でも自宅でささやかな結婚式を行うだけだが、見栄えにこだわる富裕層の間では式場や宴会場を使うのが最近は当たり前になっている。

式場に到着した新郎新婦は、きれいに着飾った子どもたちから花束を手渡され、続いて祝福の歌が演奏されることになる。

北朝鮮の今どきの結婚式には、必ずといっていいほど司会者がいる。司会者が現れるようになったのは、明らかに韓国ブライダル産業の影響だ。以前は役人など地位の高い人が式に立ち寄り、短い祝辞を述べるのが普通だった。しかし近頃では、司会者が結婚式全体を取り仕切るようになっている(もちろん、このようなスタイルの結婚式は裕福な人たちのものであることを念のため申し添えておく)。

平壌の富裕層の間では、司会に有名タレントを起用する動きも出始めている。有名人となれば司会業のギャラは数百ドルに上るため、北朝鮮の芸能人にとっては割のいい副業になっている。

結婚式でスピーチを行うのは司会者だ。スピーチでは新郎新婦、2人の両親に加えて、重要な来賓が列席している場合は来賓に対しても暖かい言葉が贈られる。最高指導者に対する賛辞や愛国的な言葉が盛り込まれることも少なくない。とはいえ、スピーチの主な目的は――これは当たり前のことだが――新郎新婦の門出を祝し、幸せな結婚生活を祈念することにある。

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