インドの「危ない大気汚染」が放置されるワケ まるでガス室のような状態

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今年に入り、深刻な肺疾患を訴える患者数は25%増え、ヒンズー教の祭り「ディワリ」の後にはさらに増加することが予想されると、呼吸器専門医のデシュ・ディーパク医師は話す。

「汚染との戦いが必要であるという事実をわれわれが認識しない限り、子どもたちが苦しみ続け、世代全体を破壊することになるというのは悲劇だ」と、ニーラジ・ジェイン医師は言う。

また、インド社会に関する著書のある著名社会学者のディパンカル・グプタ氏は、国が大規模な対策を取らない限り、問題は解決できないとの見方を示した。また、中国の首都・北京の汚染レベルが改善したのは、汚染源となっていた周辺の産業を抑制する厳しい対策を同国政府が講じたからだと指摘した。

しかしインドでは、政府による汚染取り締まりが行われるのはまだ遠い先のようだ。EPCAは11月1─10日に緊急対策の一環として、ウオータースプリンクラーの使用や建設作業の中止を含む一連の措置を発表した。

だが環境専門家の大半は、遅きに失したばかりか対策自体も不十分であり、最大の汚染源にも取り組んでいないと指摘する。

ニューデリーの住民の多くは貧しい

モディ首相は、首都を飲み込む健康危機についてまだ公の場での発言がない。

健康への深刻な影響は、デリーにある各国大使館など外国機関に、最高の人材を派遣することを躊躇(ちゅうちょ)させている。

「幼い子どもがいる職員はますます赴任を希望しなくなっている。数年前にはなかった事態だ」と、ある西側外交官はロイターに語った。

一方、ニューデリーの住民の多くは貧しく、汚染よりも食べ物を買う十分な金を稼げるか心配している。

「日々の仕事で頭がいっぱいで、モヤやスモッグのことなど考えられない」と、デリー郊外で家政婦として働くビムラ・デビさんは話した。

(Neha Dasgupta and Mayank Bhardwaj 翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)

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