37歳「離婚1年半」双子の母が起業できた理由 パソコンすらちゃんと使えなかったけど

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6月には起業のために創業支援のスクールに通い始めた。そして同年11月には、2社同時に会社を設立。続けて著書を出版。離婚から1年3カ月後の話だ。

「私はITのずぶの素人でしたが、今ではホームページが作れます。エントリーしてみた『富士通のAPIコンテスト』でもファイナリストになれました。もともと専業主婦しかしていないシングルマザーでも、『やろうと思えばやれる!』ということを知ることができました」

円満離婚をした後の子どもとの生活

「子どもは小6の時に不登校になりかけたのですが、何とか卒業式には出席できました。この頃、シングルマザーとして育児ですごく悩んだんです。子どもたちのことで何度も創業をやめようかと思いました」

「兄弟のけんかはすごくて『殺す、殺さない』とののしり合いながら、やり合うことも。ふすまは外れるし、救急車を呼ぶ騒ぎになったこともありました。私も身一つで子どもたちを抑えることに必死でした。でも、子どもたち自身が活躍するようになってから、自然にけんかは収まってきましたね」

双子の息子たちはITに興味を持ち、メンターに恵まれたことで、日本最年少の「IBM Champion」(IBMのソリューションやソフトウエアに対して、優れた貢献をしてきたエヴァンジェリストの認定)となった。現在は「子ども食堂」で子どもたちにITを教えたり、講師をしたりして、日本全国を飛び回っているそうだ。

さらに、息子たちは、数カ月に1回ほどパパにも会っているという。

「私は子育て中、どんなことがあっても息子たちにはパパの悪口を言わなかったので、それがよかったと思います。元夫も離れている分、昔より子どもたちにはマイルドに接しているようで、男3人でお風呂に入るなどを楽しめているようです」

元夫と息子たちの関係だけでなく、今では年に数回家族4人で食事をするくらい円満でいられている。

「場合によっては困難な状況もあるでしょうけど、子どものことに関してだけは、相手に相談できると、多角的な意見が採り入れられていいと思います。そういう意味でも、円満離婚は意味のあることだと思いました」

現在の彼女は、Re婚(リコン)相談所を運営しながら、面会交流で悩むママが多いため、保育園で行う父と子の「ワークショップ型面会交流事業」を行っている。また、結婚以前に個々の結婚生活の傾向と対策がわかる「DNAの相性診断システム」の研究も進めているそうだ。

「目の前の女性一人ひとりと向き合い、幸せと安心がある生活をサポートしたい」。ナカヤさんはこれからも持ち前の行動力で、ライフワークとして今の仕事を続けていく。

斉藤 カオリ 女子ライフジャーナリスト、コラムニスト

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さいとう かおり / Kaori Saito

神奈川県出身、2000年桐朋学園芸術短期大学 演劇専攻卒。合同会社ジョアパルフェ代表。舞台女優、歯科衛生士の仕事を経てフリーライター・エディターに転身し、日経womanなど複数の女性誌や週刊誌、Webで執筆。その中で、働くママ向け媒体制作で出合った500人以上のシングルマザーの苦悩・本音に大きく心を揺さぶられ、現在も独自に取材を継続。『女性の自立と生きがい』を応援する事業も行う。3児の母でもある。
https://saito-kaori.com/

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