さらに見ていくと、基本的な計算能力、歴史的な出来事や政治的な思想といった一般的な情報を学び、理解する能力は50歳がピークということです。
アラフィフ年代である筆者はこの分析結果を知り、もっと学ばなければと気を引き締めました。いずれの能力も鍛えておかなければピークの年齢がきても満喫できません。
数値が得意なほうではないので、計算能力がこれでピークと言われるとガックリするところもありますが、理解力はできるだけピークを高めておきたいと思ったりしたわけです。
では、能力のピークを高めるためにどうすればよいのでしょうか? 学びのメカニズムを知ることでより効果的な学びが得られるようになります。特に理解力を高めるにために有効な学びの3つの視点をご紹介します。
それは「生物学視点」「段階的視点」「社会的視点」という3つの視点です。
筆者は外資系コンサルティング会社で人材育成部門で数々の研修を開発し、社内講師の育成にかかわってきました。この3つの視点は研修開発手法の中にあるもので、受講生の学びを最大化するために知っておかなくてはならないものです。これを知ることで自分自身の学び方も大きく変わりましたので、皆さんも参考にしていただけるとうれしいです。
生物学的視点:短期記憶と長期記憶
まず1つ目の生物学的視点ですが、これは記憶のメカニズムの話です。人の記憶には短期記憶と長期記憶の2種類があります。
短期記憶というのは、長期記憶に情報を保存したり、逆に長期記憶から情報を引き出したりするための一時的な保管場所のようなものです。 短期記憶は時間の経過や新たな情報が入ってくることですぐに忘れられてしまいます。
対して、脳が本格的に情報を記憶するときに使うのが長期記憶。つまり脳のハードディスクですが、容量は限られていますから、脳は仕分けを行い、必要と判断された情報だけが、大脳皮質に送られて長期保管されます。コンピュータに例えると短期記憶はバッファ、長期記憶はハードディスクのようなものというと、わかりやすいでしょうか。
では、短期記憶に蓄えられた情報はどのくらいの時間維持されると思いますか? 実は数十秒ととても短いのです。短期記憶にとどめるために必要なのは「繰り返し」です。たとえば電話番号などを覚えようとする時には何度か繰り返すことで覚えられますが、時間が経つと忘れてしまいます。これはその情報が長期記憶に転送されていないからです。
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