敏腕編集者は電子書籍時代をこう見る! 「cakes」CEO加藤貞顕氏に聞く(下)

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加藤:確かに新卒でいきなりベンチャーに入ってきた人って、電話の掛け方なんかを聞いて、時々びっくりすることがありますね。「その口のきき方、やばいだろ!」みたいな。企業にいると、知らず知らずのうちにいろいろな人から教わる機会もあるし、組織でやるから学べる、というよさはありますよね。逆にいえば、それだからオーナーシップが取れなくなるという状況も作ってしまうのでしょう。人と同じで、いいところと悪いところはだいたい一緒なんですよね。

:最後に、企業かスタートアップか、あるいは独立しようか悩んでいる若い世代に、なにかアドバイスいただけますか?

加藤:うーん、やっぱり、好きなようにすればいいんじゃないですか、という言葉しか思いつきませんね。だって我慢はよくないですよ。つらいですからね。環境を変えるか、そうでなければ自分を変えるか、どっちかで楽しくやっていけると思います。

:さすが、辛抱がきかないタイプっておっしゃっていた加藤さんらしい言葉ですね。今日は、ヒットを生みだす要因も伺えて、私も勉強になりました。ありがとうございました。

加藤さんとは、講演を依頼していただいたのがきっかけで知合いました。当時は、加藤さんが出版業界でそれほどすごい人とは知らず、なんだかフランクに話しかけていましたが、よくよく聞くと、ヒットを連発するかなりの有名人だということがわかりました。
とはいえ、スタートアップ業界では同じような時期にスタートしたということもあったり、cakesのエンジニア採用第1号が弊社のWantedly経由だったりと、何かしらご縁があったので、勝手に仲良くさせていただいています。
スタートアップ業界での経験値は似たようなものとはいえ、加藤さんの「もの作り」の経験値はやはりすさまじく、少しお話を伺うだけでも目からウロコの真理がたくさん飛び出て、死ぬほど勉強になります。たとえば本を作るときの心構えとして「いくらいいことを言っていても、それが伝わらなければ言っていないことと同じ、だから伝える面を増やすために、伝え方や切り口を変える柔軟性を持つことが大事」という言葉は深く心に響きました。
加藤さんのチームがチャレンジしている問題は、今後の日本のコンテンツ業界に大きな影響を及ぼす非常に重要なものだと思います。引き続き全力で応援しています。

 (構成:田中 攝 撮影:梅谷 秀司)

仲 暁子 ウォンテッドリー株式会社代表取締役CEO

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なか あきこ / Akiko Naka

ウォンテッドリー株式会社代表取締役CEO
1984年生まれ。京都大学経済学部卒業後、ゴールドマン・サックス証券に入社。退職後、Facebook Japanに初期メンバーとして参画。2010年9月、現Wantedを設立し、Facebookを活用したソーシャルリクルーティングサービス『Wantedly』を開発。2011年12月からサービスを開始。
 

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