トランプの「日本潰し」はついに本格化するか

「ねじれ議会」誕生でアジア政策はどうなる

安倍首相が何度誤解を正そうとしても、その努力はこれまでのところ無に帰している。トランプ大統領は、日本はアメリカとの間に1000億ドルもの黒字を抱えており(実際は570億ドル)、日本人がアメリカ車を購入しないのは、アメリカ車に「重税」が課されているためだとしているが、どちらも完全なる誤解だ。

日本車に関税を課す準備はできている

間違いないのは日本が長らく拒んできた二国間の貿易協定を推し進めるために、日本車に25%の関税を課すという脅迫を強大な武器として利用する準備を、トランプ大統領が進めているということだ。「トランプ大統領はいつでもその武器を使う準備ができている」と、ある日本の政府高官は話す。

アメリカ通商代表部(USTR)は要求に応じて、12月10日に日本との貿易交渉に関する公聴会を開く。USTRのロバート・ライトハイザー代表はすでにこの交渉の狙いは自動車、農業、サービス業といった分野における関税と非関税障壁とを取り除くことにあるとの考えを示している。またスティーブン・ムニューシン財務長官は、この取引に通貨切り下げを防ぐ条項を含めることを求めている。

一方、日本の高官たちは農業に関して一定の「ライン」を用意している。彼らはアメリカとの環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉においてすでに合意した地点を超えての譲歩はしない考えだ。そして、麻生太郎財務相はいかなる通貨問題をも含めることを拒否する構えだ。

しかし、ライトハイザー代表は主に自動車を狙ってくる可能性が高い。同代表は何台の日本車が優遇税率でアメリカに入ってくるかに関して、明確な定数の設定を模索しているのだ。現在、日本の自動車メーカーは年間約180万台の自動車をアメリカに輸出している。その中にはスバルやマツダといったアメリカ国内に生産拠点を持たない比較的小規模なメーカーも含まれる。

重い自動車関税は日本企業に打撃を与え、日本の雇用と経済成長を危機にさらすだろう。だが来夏の衆議院選挙と与党内での総裁選を控えた状況で、こうした要求を受け入れることは「政治的自殺」に等しいと、日本のある高官は語る。

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