「ハズキルーペ」CMが情報爆発時代に勝つ凄み 上位には「不易流行」を体現したCMも並ぶ
一方、対極的な手法で5位にランクインしたのはリクルートの『スーモ』だ。5月に公開された『U.S.A.』のミュージックビデオのYouTube再生回数が1億回を突破するなど活躍中のDA PUMPを起用。
キャラクターの“スーモ”とステージ上で“いいねダンス”を披露し、自己最高のCM好感度を記録した。“ダサかっこいい”と評された楽曲で再ブレイクを果たした彼らをいち早く起用し、CM好感要因の「ダサイけど憎めない」では2位、「時代の先端を感じた」では1位と、まさに“ダサかっこいい”ツボをおさえて上位につけた。
モニターからは「今、流行なので目をひく」「流行りのDA PUMPをうまく使ってると思った」「話題のグループとのダンスがインパクトあって良い」「うまいこと時代に乗っかっている。音楽もダンスも楽しい」と、時宜をとらえた旬の展開が好評価だ。
これらのCMを見ていると、松尾芭蕉が言うところの「不易流行」という言葉を思い出す。「不易」はいつまでも変わらないこと、「流行」は時代に合わせて変化すること。良い俳句を作るには変わらない本質を学びながら、一方では時代の変化に応じた新奇性を重ねていくことも大切だとする考え方だ。
企業やブランドにとって「不易流行」とは何か
CMにあてはめてみると、京都キャンペーンのようにひとつのフレームを守り育てているものもあれば、スーモのように流行を取り入れて瞬発力を高める手法もある。
京都キャンペーンは「不易」を象徴するCMだが、クリエイティブのディテールはつねに世の中の動きに合わせて工夫されており、「流行」の側面も押さえている。スーモもキャラクター“スーモ”がブランドの記号として出演しており、2009年のCM開始から『スーモマーチ』の楽曲を継続しているという「不易」の面もある。
わずか17語による表現にもかかわらず、読み手にさまざまな広がりを想像させることが俳句の魅力だろう。CMも同様で、15秒や30秒という短い時間の中で商品の魅力や企業の思いを伝え、視聴者の感情を動かすことを求められる。
限られた表現でいかに見る人の心を刺激することができるか。企業やブランドにとっての「不易流行」とは何か。それを見極めることが良い広告づくりには不可欠だといえよう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら