「ハズキルーペ」CMが情報爆発時代に勝つ凄み 上位には「不易流行」を体現したCMも並ぶ

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強烈なクリエイティブは強く人の心を刺激する一方、批判や炎上のリスクもはらんでいる。万人に好まれるに越したことはないが、情報過多の現代においては「好き」「嫌い」という感情を動かす土俵にさえ上がれないCMも少なくない。

多くの視聴者の心を揺さぶっている時点で、情報として非常に優れた広告表現ではないだろうか。リスクヘッジのために視聴者に褒めてもらえそうな“ソーシャルグッド風なCM”も見受けられる中で、ハズキルーペの潔さはすがすがしい。

CMにとっての“不易流行”とは?

先日、25年間CMナレーションを務めた長塚京三の卒業が発表されたJR東海『京都キャンペーン』が11位にランクインした。CM開始時から同じフレームを継続しながらも、飽きられることなく、いつの時代も見る人の心を打つCMシリーズだ。今作の舞台は洛南エリアの紅葉の名所としても広く知られる酬恩庵 一休寺で、おなじみの『私のお気に入り』をBGMに赤や黄に色づいた葉が静かに舞い散る様子を映し出している。

CMの後半、鮮やかな映像から一転、白バックに「もう一度、京都を。」と画面にコピーがかかると、「京都をまた新しく歩き直してみることにします」とナレーションが入り、「そうだ KYOTO 行こう。」と締める。「京都」を「KYOTO」とアルファベットで表記するのは初めてで、25年通っても知らない新しい京都の魅力を感じさせる表現だ。

モニターからは「いつ見てもノスタルジーを誘う。旅に出たい」「この季節になるとコマーシャルで見て秋を感じる」「毎回京都の美しい景色にひかれる。ナレーターの温かみのある声が良い」といった感想が寄せられ、変わらないCMのトーンに安心感や信頼感を抱いているようだ。

【TVCM】2018年 秋「一休寺」そうだ 京都、行こう。

取り上げるスポットやキャッチコピー、ナレーションの内容は時代とともに変われど、CMの軸となる部分は変えずに、京都という街への憧れや旅情を描き続けることが、ロングランヒットの理由ではないだろうか。

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