トランプよりヤバいアメリカ最高裁「保守化」 アメリカ人が本当に恐れているのはこっち

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トランプ大統領の支持率が就任以来、ずっと安定していることも忘れてはいけない。ピューリサーチ研究所の調べによると、トランプ大統領は就任後から支持率40%前後を確実に維持していることがわかる。歴代のほかの大統領のそれに比べると、極端に支持率にアップダウンが少ないのも特徴だ。これは、大統領の支持基盤が、就任時から揺らいでいないことの証明とも言える。

また、共和党内に限っていうと、8月の時点での大統領支持率は84%とかなり高い。トランプ大統領への支持は、票を実際に彼に投じた保守派の間では意外と高いままなのだ。

保守派の人たちは偏向報道に憤っている

こうした背景には、日本に住む多くの人が想像つかないほど、アメリカが「キリスト教を中心に動いている」という事情もある。アメリカでは日曜日になると、全人口の40%以上が教会に祈りを捧げに行くということを、どれだけの日本人が知っているだろうか。

あらゆる点で時代の先ゆく先進国の代表のような印象でアメリカを見る人も多いが、実際のアメリカは、驚くほど「オールドファッション」という言葉が似合う国でもある。都市部から30分も車で走ったら、いまだに「古き良きアメリカの伝統」を重んじ、家族単位でせっせと教会に通う人ばかりだ。

そして彼らのほとんどは、保守、あるいは完全に保守でなくとも中道的だ。グローバル企業が多数存在する都会ならまだしも、「リベラルを100%信じる」という人は、郊外に行くほど薄れる。シアトル郊外に暮らす筆者の周囲を見渡しても、リベラルな都会の企業に勤めていても住んでいるのは郊外で、公言はしていないものの、自身は実は保守という人もかなりいる。

彼らは偏向報道のために誤解されていることを、快く思っていないことも多い。「保守は差別主義者で多様性を歓迎しない人たち。田舎者で学がない」とレッテルを張られる不快感から、報道を信じないという人も大勢いる。キリスト教の基本が「汝、隣人を愛せ」なので、社会における弱者支援や、社会還元活動や慈善活動に対して非常に熱心というのが現実だし、リベラルよりも学歴がないわけでもない。メディアが生み出した誤解は本当に多いのだ。

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