中国人の大半は、実は自国に失望している!

愛国を叫ぶ者は、共産党の一部だけ

では、なぜ広東華僑は、福建華僑に押されているのか。前にも論じたが、現在の「習近平政権」は、共産党一党独裁支配の下で、シンガポール式の「事実上の独裁政治」下での、「管理された民主主義」を目指しているように見える。つまり、「共産党の支配権」という「神聖不可侵」な部分にさえ触らなければ、それ以外は「民主主義OK」ということであり、実際に今の中国はそうなりつつあるのだ。

実は、習近平国家主席は、福建省の省のトップも長く経験しており、福建華僑との関係が深い。福建華僑には客家華僑が多く、リー・クワンユー(李光耀)シンガポール元首相、シンガポールやインドネシア華僑の大富豪である、ジュハル・スタント(林文鏡)氏や、故スドノ・サリム(林紹良)氏がその代表である。

習近平氏は、彼ら客家華僑と緊密な仲を通じて、福建省経済を躍進させた経験がある。彼が国家主席に就任できたのも、背景に華僑コネクションがあるから、と言っても過言ではないくらいだ。それゆえ、習近平政権は、開発独裁に成功したシンガポール式運営をするのではないかと思うのだ。福建華僑が勢力を伸ばしている理由も、習近平政権との関連というわけだ。

脱出ばかり考える「裸官」たち

さて、それはさておき、今回の本題は、ここからだ。冒頭の言葉にもあるように、「世界の中心で中国愛を叫んでいる」のは、北京の政治関係者だけである。

ところが、その政治家でさえも、家族と財産を海外に移して、自分だけ中国に残る「裸官」と呼ばれる政府高官の存在が問題視されている。いや、それさえも違っていて、今の中国では、富裕層や高級官僚らだけではなく、多少カネのある家庭なら、できる限り、ありったけのおカネを使ってでも、子供を海外に留学させたいと思っているし、実際に送り出している。

しかも、中国に戻ってきてほしくないと思っている。彼我の教育水準、英語を学ばせたいなどの言い訳はいろいろあるが、結局のところ、西側の民主主義社会制度と健康な生活スタイルにあこがれているのだ。

彼らは何も間違っていない。普通の市民である。だが、決定的に欠落した部分が中国人にはある。なぜ、子供を脱出させることばかり考え、みんなで力を合わせて自分たちの国をよくしようとしないのだろうか?

共産党の一党独裁のせいだろうか。締め付けが厳しいせいだろうか。確かにそういう面はあるだろう。だが、多くの中国人と付き合ってきた私に言わせていただけるのであれば、中国人には「皆で力を合わせることができない国民性がある」と言いたい。しかも、今や、華僑の金持ちのトップであり、あれほど共産党と仲良しのはずの、香港の李嘉誠ほどの大物経済人でさえ、資産を欧州に移し始めている。逃げることを考えているのだ。

これはどこから来るのか。中国人の歴史をひもといてみると、異民族の襲撃を何度も受け「今まで、安定的なものがなかった」ということにもなりそうだ。そのため、他人を信用できない国民性がつくられたのだろうか。あるいは、人口が多いため、だましだまされ、競争や権力闘争が日常茶飯事になっているのが、原因なのだろうか?

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