東芝、「Nextプラン」に見る経営と現場の距離 2つのリスク案件を処理も、何かが足りない
「若手からの意見を吸い上げるために対話集会をするというが形だけ」
「Nextプランの目玉を出せと言われる。これは新たな”チャレンジ”だ」
チャレンジとは、東芝の経営トップがかつて現場に無理な目標を強いるときに使った言葉だ。それが結果的に不正会計につながった。Nextプランは、それを思い起こさせるような「ストレッチした計画」(中堅幹部社員)だという。
「CPSテクノロジー企業」を目指す
Nextプランの中で車谷会長は、将来の東芝の姿として「世界有数のCPSテクノロジー企業」を挙げる。
これを聞いてもほとんどの人はピンと来ないだろう。CPSとは、サイバー(仮想空間)・フィジカル(実世界)・システムの略で、実世界のデータを収集し、仮想空間でデジタル技術を活用していく、といった意味だ。
数値面では、2021年度計画として売上高3兆7000億円、営業利益2400億円(営業利益率6%)以上、2023年度のターゲットとして売上高4兆円以上、営業利益率8%以上(10%以上を目標)とする。
「10%になればフィジカルの企業としてグローバルでほぼトップレベルになる」と車谷会長。ちなみに今2018年度の見通しは売上高3兆6000億円、営業利益は600億円(営業利益率1.7%)。特に利益のハードルは高い。
収益向上策の柱に据えるのが調達改革と構造改革だ。車谷会長は「東芝の原価率は競合他社と比較して相対的に高い。確実に改善余地が存在する」とし、すでに間接材の見直しを開始していると説明した。
構造改革では、今回エネルギー事業を中心とした1060人の早期退職の実施を発表。加えて、自然減を中心に5年間で7000人の人員減や生産拠点閉鎖などを進めていくという。
2021年度までに2018年度(見通し)から調達改革で650億円、構造改革で580億円の利益を積み増す。さらに二次電池や鉄道、空調、パワー半導体、データーセンター向けハードディスク装置などを伸ばし、それらの増収効果で800億円近く利益を増やせるとそろばんをはじく。「各事業部長と何度もひざ詰めの議論をした結果。それに一定のリスクバッファとして350億円も見ている」(車谷会長)。
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