危機は収束したが…「東芝問題」が残した禍根

久しぶりに穏やかな株主総会になりそうだ

昨年6月に開かれた定時株主総会。監査法人との意見対立で決算報告ができなかった(記者撮影)

6月27日、東芝の定時株主総会が開催される。経営陣は久しぶりに穏やかな気持ちでこの日を迎えたことだろう。

一番の要因は、足元で株価が上昇していることだ。東芝は6月13日に7000億円規模の自己株買いを行う方針を発表。5月に300円前後でうろうろしていた株価は、この日以降、330円を上回って推移している。

この1年、大きな懸案だった債務超過も解消できた。2018年3月末の株主資本は7831億円、同比率は17.5%まで回復している。

昨年12月に6000億円の第三者割当増資を実行。その資金を使って米原子力事業関連損失を税務上も損失として確定させる処理を敢行した。同損失は2017年3月期に会計上は計上済みだったが、税務上は損失として認められていなかった。一連の取引で2018年3月期に払うはずだった税負担が大幅に軽減された。

増資による直接的な資本増強と税負担の軽減で、債務超過を解消することができた。さらに、債務超過解消により、新たに繰延税金資産の計上も可能になった。結果、2017年3月末に比べて株主資本は1兆円以上改善されたことになる。

脆弱な財務から一転して過大資本に

6月1日には東芝メモリの売却が完了したことで、2019年3月期は9700億円の売却益が計上される。

このまま(特別な株主還元を行わなければ)、株主資本は約2兆円、同比率は40%を超える。債務超過に転落する以前から、脆弱な財務が弱点だった東芝にとって、これは誠にめでたいことではある。

その中で、東芝は7000億円規模の自己株買いを行う方針を発表した(2018年3月末時点で単独の自己資本に分配可能額がないため、実施には2019年3月期を待つか臨時決算を行うかする必要がある)。なぜ、せっかく増えた株主資本を減らすのか。

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