チェコで台頭「新規参入組」鉄道会社の光と影 サービス向上も、価格競争「我慢比べ」に懸念
チェコの旅客列車運行会社レギオジェット(RegioJet)社は、2018年の上半期に延べ276万人を輸送し、オープンアクセス制度によって誕生したチェコ国内の新規事業者による半期の輸送人員記録を更新したことが現地報道で伝えられた。2017年の同上半期と比較して、実に60万人も増えた計算になり、年平均では26%の大幅な伸びとなった。
この利用客数増加の一翼を担ったのは、2017年に新たに運行を開始したプラハ―ブルノ―ブラチスラヴァ(スロバキア)/ウィーン(オーストリア)間の国際路線で、この区間だけで年間41万8000人の利用客があった。また同社は、都市間輸送だけではなくスロバキア国内の近郊輸送へも参入、ブラチスラヴァ―コマルノ間で同じく上半期だけで延べ166万人を輸送、合計で446万人を輸送した計算となる。
学生が起業した旅行会社が発展
オープンアクセスによって鉄道業界へ新規参入してからまだ8年ほどのレギオジェット社だが、その親会社はスチューデント・エージェンシー(Student Agency)社という。どんな会社なのか。
同社は1993年、当時まだブルノ工科大学の学生だった現CEOのラディム・ヤンチェラ氏が、チェコ共和国の学生のためのオペア(Au-Pair/外国でホームステイし、その滞在先の子どもを保育することで報酬を得ながら生活する留学制度)を斡旋する会社として設立したのが起源だった。
当初はヤンチェラ氏個人の運営で、すべての業務を一人で行っていたが、顧客数の拡大に伴って1996年にスチューデント・エージェンシー社を創業。その後、チェコの旅行代理店としての地位を確立し、主に航空券手配とパッケージツアーの販売で業績を伸ばしていった。国際路線バス事業にも参入し、2004年以降はチェコ国内バス路線にも参入した。
鉄道事業には2006年に参入の意思を示し、2009年にスチューデント・エージェンシー社の100%子会社としてレギオジェット社が設立された。
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