中国の「新車市場」が直面する曲がり角の正体 00年以降初マイナス成長へ、日本車に影響も
実際、人口2200万人の北京市では、約300万人超の新車購入希望者に対し、今年のエンジン車ナンバープレート発給数は4万枚にとどまった。また、中国の小型車減税策により、排気量1.6ℓ以下の小型車に対しては、その車両価格の10%に相当する購置税(自動車購入税)が引き下げられた。
昨年終了したこの減税策は、実施後の2年3カ月間で約700万台の小型車販売増に寄与したものの、政策による消費喚起は両刃の剣であり、需要の前倒しは今年の新車販売の減少につながる。
2つ目の要因は、昨今の中国経済の変化だ。米中貿易摩擦で中国景気の先行きへの不安が高まり、人民元安による資本流出も懸念される中、上海株総合指数は年初の高値から約3割下落し、2014年につけた安値水準で推移している。
また、中国で5000万人以上が利用する「P2Pレンディング」(インターネットを通じ資金の貸し手と借り手をマッチングする仕組み)への取締りを政府が強化したことで、今年P2P運営会社が大量に破綻、元金を回収できない被害者が数千万人に上ると報道された。
このように株価下落による消費者心理の悪化や家庭の金融資産の減少がクルマ消費を抑制し、中国の自動車関連製品の小売額は9月、5カ月連続のマイナス成長を記録した。
不動産価格上昇で車購入控える動きも
3つ目の要因は、不動産価格の上昇である。中国主要70都市の新築住宅価格は9月、40カ月連続で上昇。特に自動車販売を牽引する中西部地域都市で上昇が際立つ。不動産価格のさらなる上昇が懸念される中、前倒しで住宅を購入する家庭が増加。クルマ購入など大口の支出を後回しにし、住宅ローンの頭金に資金を充てることを優先させる家庭は少なくない。
現在、中国の家計債務は可処分所得を上回り、住宅ローンは家計債務の6割を超える状況にある(上海財経大学調べ)。
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