マルチ販売は合理的だが生保免許のために断念した--米田光生・アイリオ生命社長
契約者数30万人--。多段階(マルチ)販売で業績を急拡大させた「無認可共済」最大手のエキスパートアライアンスが、10月から「アイリオ生命」として新たなスタートを切った。ただしマルチとは決別し、他の生保と同様の販売スタイルをとるという。その狙いを米田社長に聞いた。
--11月は保険をたくさん売る「生命保険の月」です。
当社は一切関係ない。なぜ各社が11月に焦って一生懸命保険を売るのか、よくわからない(笑)。僕はアリコ時代に言ったことがあるんですが、「キャンペーンっておかしいじゃないか、お客様が入りたければ入ればいいんだ。なぜ会社が勝手にキャンペーンをやるんだ」と。でもアリコでは通用しなかった。「お前、ばか言うんじゃない」と。
当社はできたばかりの会社ですが、お客様の目線で考えることを追求していけば、初めは「アイリオなんて知らない」と言われていても、少しずつ信頼されていくのではないか。遠回りですが、それしかない。
--エキスパート時代には約11万の販売代理店がありました。現在の販売チャネルは?
生命保険商品の販売には一般課程試験に合格する必要があります。現在約5000の代理店が合格しています。来年の3月までには1万店くらいにはしたい。11万の代理店すべてに販売資格を持たせることは考えていません。年8~10件の商品を販売したり、2店程度の代理店をリクルートして毎月2万~3万円の手数料を得ている代理店さんが約2万店いますが、われわれとしては、まず彼らに移行していただきたい。
一方で大多数の代理店さんは、保険会社的にいえば契約者に近い。つまり自分が加入して、その後家族を入れれば手数料が出るので、それで自分の掛け金の負担を軽減する。こういう目的の代理店は試験を受けてまで、保険会社の代理店の資格を取るという人はいないのでは。もちろん、頑張るぞという人はいますよ。
--現在の販売手数料率は?
普通の保険会社は初年度に高くしますね。代理店さんにとっては初年度にバンともらって、あとはいつ解約されてもいいやみたいな。でも当社はエキスパート時代から平準払いです。保険の契約が続くかぎりずっとフラット。最初は少額でも、契約をとり続けて、2~3年経ってみると、こんなにコミッションが増えていると。トータルで見ると私たちの手数料率は高いと思いますよ。
--手数料がフラットだと、代理店も契約が長続きしたほうがいい?
もちろんです。だから当然、アフターサービスをきちんとやる。