外国人が殺到する「ジャパン・ハウス」の正体 あのYOSHIKIやウィリアム王子も訪れた

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今年6月にロンドンにオープンした「ジャパン・ハウス」。オープニングには、イギリス王室のウィリアム王子も訪れた(写真:Simon Dawson/ロイター)

世界でちょっとした話題になっている「ジャパン・ハウス」をご存じだろうか。日本に関する展示をしたり、日本のモノを売るショップや図書館、飲食店などを備えた施設で、2017年4月にブラジル・サンパウロで開館して以来、同年12月にはアメリカのロサンゼルスに、そしてこの6月にはイギリス・ロンドンにオープンした。

8月24日に行われたロサンゼルス館の全館オープンには、「X JAPAN」リーダーのYOSHIKIが出席し、パフォーマンスを披露。国内外の政府関係者や経営者、文化人、著名人も招待されたという。また、ロンドン館がオープンした際には、英王室のウィリアム王子まで訪れている。

各館とも滑り出しは好調で、サンパウロ館には、2017年4月から今年7月中旬までになんと92万人が来場。オープンから1年では77万人と、当初目標の13万6000人を大きく上回った。ロサンゼルス館でも、昨年12月から今年7月中旬までに6万5000人、ロンドン館では2018年6月中旬から1カ月で5万7000人が訪れている。

4年間で130億円をかけた巨大プロジェクト

さて、このジャパン・ハウス、何が面白いかというと、実は政府によって運営されていることだ。具体的に言うと、外務省が日本のイメージアップを視野に始めた対外発信プロジェクトの一環なのである。2015~2018年度の期間で設置・運営される予定で、計130億円強が予算計上されている。「クールジャパン戦略の一環か?」と思われがちだが、経済産業省のプロジェクトとは関係がなく、目的は経済振興ではない。

ジャパン・ハウスの目的は、日本の伝統や文化、テクノロジー、食といった「世界を豊かにする日本」という魅力を発信し、海外での日本理解や共感度を向上させること。簡単にいえば、外国人に日本を好きになってもらうために日本政府が開設した施設であり、「新しい日本」の対外発信拠点である。こうした一国の政府による巨大な対外発信拠点施設の運営は、世界を見渡しても類を見ないもので、日本独自の試みと言える。

「新しい日本」をうたうだけに、演出の仕方も、かなりの工夫が凝らされている。全館の総合プロデューサーは、ロンドン館のデザイナーでもある原研哉氏。同氏は、1998年長野冬季オリンピックの開会式・閉会式のプログラムを手掛けた実績もある。さらに、サンパウロ館のデザイナーは、2020年東京五輪の主会場となる新国立競技場の設計を行う隈研吾氏と、いずれも日本を代表する建築デザイナーが手掛けている。

また、外務省には「ジャパン・ハウス有識者諮問会議」が設置されており、専門的見地に基づき、ジャパン・ハウスの展示や運営等に対する助言を行っている。メンバーは、学者から、デザイン、食、美術、メディア、経済、伝統芸能、科学技術に至る、各界を代表する専門家17人で構成されている。

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