《戦略講座》日本レストランシステムを「オペレーショナル・エクセレンス」で解説する

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《戦略講座》日本レストランシステムを「オペレーショナル・エクセレンス」で解説する

2008年5月14日の日経MJに掲載された「第34回日本の飲食業調査」の売上高経常利益率ランキングで、日本レストランシステム(以下、日レス)が前年に続き、首位に立った。10%を超えれば優良企業と言われる飲食業界において、日レスは21.4%という経常利益率を誇っている(07年度実績。06年度は21.1%で首位)。同社は、調査発表後となる07年10月にドトールコーヒーと合併し、ドトール・日レスホールディングス(東証一部上場)となったが、ここでは日本レストランシステム単体の戦略に焦点をあて、その強さを解き明かしてみたい。

■21%を超える経常利益率で業界首位に

 日レスは、現・代表取締役会長を務める大林豁史氏の手によって1973年に創業した。2007年8月現在で、34業態(ブランド)333店舗のレストランを運営するマルチブランド戦略を取っている。

 当該調査前後となる、2007年5月31日決算時の年商は291億円。営業利益60.9億円(20.9%)、経常利益62.3億円(21.4%)という利益率の高さが、やはり目を引く。一般に3割程度を目安とする飲食業界において、22.9%という原価率の低さも特徴の一つと言えよう。テナント先に支払う敷金保証金は、103.9億円で、総資産の28.6%を占める。自己資本比率84.0%、キャッシュフロー対有利子負債比率0.2%と、負債比率が低く、現金が手元に残りながら、しっかりと回っている様子も見てとれる。

 年間の新規出店数は30。個別業態では、最も店舗数の多い「洋麺屋五右衛門」が売り上げ構成比の44.8%を占める130.5億円(対前年比7.4%増)を売り上げ、これに、「さんるーむ」(20.4億円、7.0%)、「にんにく屋五右衛門」(16.8億円、5.8%、対前年比△18.4%)、「卵と私」(12.8億円、4.4%、対前年比△1.2%)、「地鶏や」(12.8億円、4.4%、対前年比3.9%増)、「洋食浅草軒」(9.4億円、3.2%、対前年比△18.5%)が続く(カッコ内は07年度の売上高、売り上げ構成比、売上高対前年比率)。

 見てのとおり、業態ごとの差異が大きく、34業態のうち多数は、まだ収益の柱と呼べる規模には育っていない。これについて大林氏は、同一業態を横展開し続ければすれば、確かに規模の経済は利くが、業態にもライフサイクルがあり、現時点でのスナップショットで業績が良い業態にのみ、しがみつくと、それが衰退期に入っただけで会社が存亡の危機に立たされること。したがって、成長期、導入期の業態を投入し続ける必要があるとの認識を明らかにしている。業態が衰退期に入り、赤字に転落したら、一定のテコ入れはしつつも、「無駄なあがきをするよりは、スパッと業態を変えてしまったほうがいい場合も少なくない」というのが、大林氏の考えだ。また、業態のバラエティを広く持つことで、1地域に、グループとして多店舗を展開することが可能となり、原材料の配送効率を上げるなどするドミナント展開を実現できる、ともしている。

 同社が店舗展開をしているエリアは、関東(東京、神奈川、千葉、埼玉、群馬)が最も多く、売上173.3億円、店舗数205で、うち東京が93.5億円(118店)と多数を占める。このほか、関西(大阪、兵庫、京都、奈良)は45.8億円(51店)、名古屋・浜松は28.2億円(28店)、その他(北海道、福岡、広島、宮城、熊本)は24.0億円(33店)と、3大都市および100万人都市もカバーしている。

■優良企業の3つの価値基準

 今回は、この日レスの戦略について「オペレーショナル・エクセレンス」で検討してみたい。

 オペレーショナル・エクセレンスは、『リエンジニアリング革命』で有名になったコンサルティング会社CSCインデックス社の経営コンサルタント、マイケル・トレーシーと、フレッド・ウィアセーマの提唱した概念だ。彼らは1995年、『ナンバーワン企業の法則』の中で、優良企業の3つの価値基準(基本戦略と同様の考え方)として「オペレーショナル・エクセレンス」「製品リーダー」「カスタマー・インテマシー」を挙げ、一世を風靡した。

 その一つとなる「オペレーショナル・エクセレンス」戦略を取る企業は、生産方法や販売方法など主にオペレーションにおける優位性を構築することで、競合に対し、スピードやコストで打ち勝っていく。特に革新的な製品を生み出しているわけではなく、顧客との緊密な関係性を育んでいるわけでもないが、品質、価格、購買の簡便性、サービスなどを含む総合力によって市場で最高の水準を保つのが特徴であるとしている。

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