楽しむだけでなく、以下のような「仕事」をこなすのだ。
①地元の小学校などに頼まれて、ベンチなど必要なものを作ってあげる
②作った作品を週末の地元のバザーで売って、住民とのつながりが生まれる
③場所を活用して、障害のある子どもたちに工作などを教える
といった機会が生まれ、孤独だったオジサンたちがみるみるうちに生気を取り戻していく。「自分が人の役に立っている」という意識がなによりの生きがいになるという。
「男たちの小屋」に1万人以上が参画
現在、イギリスでは475カ所の「小屋」があり、新たに100カ所以上が近々オープン予定で、1万人以上が参画し、一大ムーブメントとなっている。この動きはオーストラリアやアイルランドなど世界でも広がっており、オジサンの生きがい再生基地として、注目を集めている。
もう一つ、オジサン関連では、「Walking football(歩くサッカー)」も大人気だ。サッカーが大好きなお国柄であるが、年を取ると走り回るのはなかなか難しい。そんな人でも気軽に楽しめる「歩きながらするサッカー」が「孤独対策」の一環として広がっている。
今やイギリスだけで1000チーム以上。大会も開かれるようになっており、ちょっとおなかの出た高齢のオジサンも元気いっぱい、フィールドを「歩き回って」いる。
そのほかにも、イギリス人男性の大好きな居酒屋「パブ」を拠点にした朝食会、週末に近所の人たちが集まって、路地にテーブルを並べて、一緒にランチを楽しむ「ビッグランチ」、高齢の独居者を招いてのティーパーティなど、よりどりみどりの対策が展開されている。特徴的なのは、老若男女の多くのボランティアが活動を支えていることだ。
孤独な人が、こうした活動に参加し、役に立つという感覚を得ることで、自らの孤独を癒やすという効果もあり、まさに「支え合い」を通じて、社会としてのつながりと人々の生きがいを取り戻そうという壮大な実験を展開している。孤独で寂しいという人を誰も置き去りにはしないし、まさに「ゆりかごから墓場まで」、誰かが寄り添う社会にしたい。こうした取り組みはそういった強い覚悟の表れなのである。
他方、孤独は自己責任、我慢で何とかやり過ごせ、という日本。その彼我の差は歴然だ。今、世界が対策に乗り出す中で、日本だけが、「孤独万歳」などと安穏としているわけにはいかないのだ。
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