実際、ルビコントレイルではさまざまな運転レベルのジャーナリストが乗った20台近くの車両が1台も走行不能になることなく走破した。現地でエンジニアはどれもカスタマイズした車両ではなく、ディーラーからもってきたノーマル車両だということを強調していた。
アメリカで試乗したラングラーは、RWD(後輪駆動)と4WDを手動で選ぶ伝統的なパートタイム式4WDを採用していた。が、オプションとして、ラングラー史上初のセンターデフを備えるフルタイム式4WDも設定された。
日本仕様のラングラーにもグレードによってはフルタイム4WDが採用される。日本のオフロードで短時間ながらフルタイム4WDのラングラーを試したが、センターデフをロックした状態で走らせれば、従来のパートタイム式4WDで4WDを選んだ場合と同じように強力なトラクションを得られた。日常の使い勝手は(切り替えの必要がない)フルタイム式に軍配が上がる。
日常的なオンロードでの快適性や利便性が大幅に向上
新型ラングラーは伝統的な特徴を堅持したままアップデートを果たした。8速ATやフルタイム式4WDの採用によって日常的なオンロードでの快適性や利便性が大幅に向上した。新型はアンリミテッドスポーツが494万円、アンリミテッドサハラが530万円と、JK型に比べ約60万円高。
一方で、モデル末期となったJK型は今年9月に400台が販売された。(値引きもあっただろうが)海外試乗記などで新しいJL型の姿かたちや仕様を確認したうえで「JK型でよい」と考えた人が多いということだ。JL型は多くの部分で洗練されたが、市販車最高レベルの悪路走破性やアイコニックなスタイリングなど、ラングラーの根源的な魅力はJK型にも備わっているため(あるいは安全装備面で大きな進化がなかったため)、その考えは十分に理解できる。もっと言えばそうした魅力は、ラングラーと呼ばれるはるか前の、いわゆる“ジープ”の時代からとっくに備わっていた。
それにしても、燃費面で厳しく、今どき衝突被害軽減ブレーキもなければアダプティブ・クルーズ・コントロールなどの運転支援装置も備わらないラングラーが人気を保つというのは興味深い。米伊連合のFCAには「フィアット500」というロングセラーもあり、こちらも自動ブレーキをはじめとする先進的な安全装備とは無縁であるにもかかわらず、安定して売れ続けている。消費者は性能だけでは選ばないという意味で、クルマという商品の奥深さを物語っている。とはいえ装備されるに越したことはないので、安全面でのアップデートの要望は続けたい。
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