見た目からわかるとおり、ラングラーは加速力や最高速を求めるクルマではない。最高出力、最大トルクの数値よりも、どちらのエンジンもレギュラーガソリン仕様であることに注目すべきだ。(日本にはないが)ガソリンの質が安定しない地域で不具合の可能性があるハイオク仕様はパワーを高められるとしても「Go Anywhere!」をうたうラングラーにはふさわしくないのだ。
ただし走行フィーリングのよさにおいては3.6リッターに分がある。2気筒多い分、回転がスムーズで伸びやかな加速を楽しむことができるからだ。ロックセクションなどの悪路走破時の扱いやすさはATであるかぎりほとんど違いはない。エンジンに関しては有り体に言ってどちらでもOK。スポーツとサハラの装備の違いで決めることになるだろう。ただし自動車税は3.6リッターだと年6万6500円になるが、2リッターだと年3万9500円で済む。
新型JL型はJK型同様、ボディとシャシーが一体化したモノコック式ではなく、はしご型フレームシャシーの上にボディを載せるフレーム式が採用された。前後ともコイルリジッド式のサスペンションというのもこれまでどおり。前後リジッドのフレーム式は悪路走破に有利で、シンプルで故障しにくく、整備しやすいといった利点があるが、その代わりオンロードでの快適性では独立懸架式サスペンションをもつモノコック車に対して不利。ただしJL型は11年分の素材や製法の進化によって、JK型よりも多少乗り心地は快適になった。
加えて静粛性が向上した。とはいえフロントサスペンションをリジッド式から独立懸架式に変更したことで乗り心地や直進安定性を劇的に改善させたメルセデス・ベンツGクラスのような変化は期待しないほうがよい。
悪路走行で最も重要なロードホールディング性の高さ
悪路走破性はどうか。今夏、アメリカ・ルビコントレイル(ロックセクションを中心に渡河や砂地などさまざまな悪路が延々と続く、オフローダーに聖地とあがめられる片道約20kmの峠道)で圧巻の性能を見せつけられた。
ラングラーには同じく高い悪路走破性をもつことで知られるランドローバー各モデルのように複雑な電子制御システムは(修理できない地域での故障のリスクを避けるため)備わらないが、代わりに途方もないホイールアーティキュレーション(車輪がどれくらい上下に動くかという尺度)をもつ。おかげで、悪路走行で最も重要なロードホールディング性が高く、いずれかの車輪が浮いた際にほかの車輪にトルクを配分するための複雑な制御をもたずともしっかりとトラクションが確保されるのだ。
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